シーラカンスには「肺」があった…

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シーラカンス。色違いなのは種が違うからだとも言われる。
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※体内構造はこんな感じ。

シーラカンスには退化した「肺」があると言う…

http://www.afpbb.com/articles/-/3060415

現在生きた化石」の代表格と言っても良いであろうシーラカンス。だが全く進化していない訳ではなく、一応は進化はしているのだ。現在では痕跡器官同然だが肺があった、と言うことはかつてシーラカンスは上陸を試みた魚の仲間に近いかシーラカンス自身が上陸していた可能性だってあるのではないか?と言うことになる。言うまでもなく両生類以後人類に繋がる進化の流れに近い所にいる生物でもある。
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※人間と大きさを比べて見ると…
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系統樹で見るとシーラカンスはこういう立ち位置になると考えられている。

そもそも絶滅したと考えられていた化石種のシーラカンスは淡水魚である。一方現在生息が確認されているシーラカンスは深海魚である。言うまでもなく深海と淡水では環境が違い過ぎて淡水魚を深海に放ったり、逆に深海魚を淡水で生かそうとしてもほとんどの場合その変化に適応出来ず死んでしまう。淡水と深海、両方の環境で生息出来るのはウナギ位か。しかしそのウナギにしてもマリアナ付近の海域からフィリピン東岸台湾沖日本、と直線的でなく、迂回して移動しているのは徐々に環境の変化に体を慣らしているからであろう。
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※ウナギの移動ルート。徐々に環境の変化に適応しているのであろう。

…話をシーラカンスに戻すと、中生代までは淡水魚だったシーラカンス中生代末の巨大隕石衝突で壊滅的被害を被ったに違いない。だが一部のシーラカンスは深海へ逃げ延びてその環境に適応する事に成功した。そしてそのまま深海で暮らすようになった…だがその代わりに持っていた肺は深海では何の役にも立たないので6500万年の時間をかけて退化した…と言う訳だ。記事によれば成魚のシーラカンスよりも胚の方が肺の体に対する大きさは大きいと言う。「個体発生は系統発生を繰り返す」と言うのに従うならば淡水種のシーラカンスは何らかの理由があって上陸していた可能性は極めて高く、また現生種のシーラカンスがかつての淡水種の子孫である事はまず間違いないであろう。

では一体何の為?と言う疑問が当然涌くが、ウミガメの様に産卵する為ではないだろう。シーラカンス卵胎生であるからだ。では補食の為か?となるが、この時代魚類よりも早く上陸を果たしていたのは昆虫位しかいない。それを補食していたとしてもシーラカンスの体つきで上陸しても機敏に動けなかったのは明らかであろう。それで補食が出来ていたのだろうか?と言う疑問は付いて回る。後は敵から逃れるべく当時限りなく安全地帯であった陸上で暫く過ごす為だったのだろうか?…ハッキリと判っていないのが実状ではあるまいか。
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※上は上陸していた古代魚類の一種、ユーステノプテロン。
下は最も原始的な両生類の一種、アカントステガ。コイツには何故か指が8本もあった…
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古代魚類が上陸した際の想像風景。シーラカンスもこうしたのだろうか?

…余談だがシーラカンスが再発見された際、日本人魚類学者がシーラカンスを試食したそうだ。当時未知の魚を食べて味まで自ら確めるとはある意味魚類学者の鑑だが、気になるそのお味は「水っぽくって非常に不味い」と言うことだ。一般的に言われる「ゲテモノは美味」とは限らないようだ。尚、その身には寄生虫等もいるらしく、間違っても刺身で食べるなどもっての他らしい。

しかしこれでもシーラカンスについてはまだ未知の部分が非常に多い。これからまだ新たな発見があるに違いない。そしてそこには魚類が上陸して両生類へと進化した経緯を知る鍵があるかもしれない。これからの研究にも期待したい。
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シーラカンス、再掲。