フグの肝は解禁されるか?

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※間違っても素人が手を出してはいけない。

「フグの肝」の解禁を巡って論争が起きているらしい。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160525-00000111-asahi-soci

高級魚のトラフグ。その肝は美味とされ、食べたがる人も多い様だが、が含まれている場合もあるため、食用禁止とされている。それでもフグの肝を食べて毒にあたって死んでしまう人は後を絶たない。

中には「フグの肝を食べたが、何ともなかった」と言う人も居るかもしれないが、そもそもフグの毒はフグ自身が作り出している、と言うよりそのフグが食物連鎖の過程で体内に蓄積しているものらしい。だからフグの生育環境次第では毒を殆ど含まない肝も存在しうる。勿論それは毒性検査でもしない限り判る話ではないので、そうでもしない限りフグの肝を食べる、と言う行為はロシアンルーレットの引き金を引くに等しい行為である。毒に当たらなかったのはロシアンルーレットで言えば「弾が入ってなかった」だけに過ぎない。

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※解毒剤は、ない。


そんな中、2月に佐賀県山口祥義知事が、「毒のないトラフグの肝臓を提供できる」とする水産業者「萬坊」の依頼を受け、養殖トラフグの肝の食用を限定的に認めるよう厚労省に申請したのだ。

「萬坊」によればトラフグを殺菌した海水を使った陸上の施設で養殖し、一匹ごとに飼育歴を把握。すべてのトラフグについて肝の毒性が最も高いとされる部位を検査し、毒が検出されなかったもののみ同社のレストランで出す、と言う計画らしい。佐賀県の第三者委は1月に、「検査方法は妥当」として、これにお墨付きを与えたのだが…

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※フグの卵巣の糠漬け。結果的に毒が消えていることが証明できているのだから、同じ理由で肝も毒が消えていることが証明できれば…

佐賀県や萬坊は2004年以来2度に渡って、フグ肝の食用を認める「特区」を国に申請したことがあると言う。今回の提案と同じ方法で萬坊が養殖した計5千匹が無毒だったことが根拠だが、「細菌からフグに毒が移る仕組みは不明な点が多い」と却下された。だが食品衛生法では、有毒の疑いがある食べ物でも、国の審査をへて「人の健康を損なうおそれがない」と厚労相が認めたら販売できる。この規定をクリアするため、今回は、肝を一つずつ検査する仕組みを導入したと言う。現に石川県の一部地区でのみ製造・販売が許可されている「フグの卵巣の糠漬け」と言う珍味が存在する。これは本来毒が含まれている為、食用禁止のフグの卵巣をまず塩漬けにして、その後糠漬けにする、と言う製法で作られる。製造には数年かかるそうだが、そうする事で何故か卵巣から毒が消え、食用になると言うのだ。但し、このプロセスでどうして毒が消えるのか?と言う科学的な解明は謎のままなのだが…そしてそれに最初に気付いた人物は誰だったのだろう?そこまでして食べようとしたその精神には只恐れ入る。

勿論反対意見も根強い。フグ料理店主ら約1800人でつくる「全国ふぐ連盟」は

「県の提案を認めると『肝は安全』と誤解が広まって被害が増える。積み上げてきた消費者のフグへの信頼感が落ちてしまう。絶対の安全はない」
(真貴田雄一副会長)

反対姿勢を明確にしている。

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※フグの毒の蓄積メカニズム。しかもフグには必要があるらしい。

フグの毒には未だに有効な対処法はないに等しい。精製過程も不明な上、養殖で無毒の筈のフグの水槽に天然物の有毒フグを入れると養殖フグも毒を持つようになるとか、養殖時にテトロドトキシン(フグ毒の主成分)の含有がない餌を与えると、咬み合いなど異常行動を引き起こし、また異常行動時にテトロドトキシンを含有する餌を与えると収束することから、フグは正常な活動のためには一定のテトロドトキシンが6必要、とする見解もあるらしい。

いずれにしても先ずはフグの毒についての科学的知見を得る事が前提であろう。それまでは魚の肝はアンコウやカワハギなどで我慢するべきであろう。やはり安全が第一、なのだ。