恐竜を滅ぼした巨大隕石衝突の猛威

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※恐竜に止めを刺した隕石落下の想像図。

6500万年前に恐竜絶滅の原因の一つ、とされている巨大隕石衝突。80年代に中生代新生代の境界線(K/T境界)に地表には殆ど存在せず、隕石に大量に含まれるイリジウムの層がある事から「天文学者」によって提唱された説である。90年代にメキシコ・ユカタン半島で発見された巨大クレーターが「その時の隕石衝突の痕跡」と特定され、少なくとも恐竜絶滅の原因を考えるにあたってこの事実を避けて議論する事は不可能になった。
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※その証拠はメキシコにあった。

「その日」、「それによって」どんな災害が発生したのか?それを研究している科学者も沢山いるのだが、その結果は「この世の地獄」と言っても過言でないものだった…
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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160615-00010001-nknatiogeo-sctch
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※衝突の瞬間の想像図。

米パデュー大学、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの地球物理学者チームが開発したウェブツール「インパクト・カリキュレータ(衝撃計算機)」では、小惑星の大きさやスピードなどのデータを入力することによって、衝突が起こったときの様子を詳細に知ることが出来ると言う。件の巨大隕石は直径10キロ、速度は記事によれば時速6万4000キロ(≒マッハ50)だと言う。

主要研究者のひとり、ジョアンナ・モーガン博士によれば、

「隕石の衝突地点からの距離をいくつか入力してみれば、衝撃の影響が距離によってどのように変化するかがわかります。たとえば、もしあなたが衝突地点から比較的“近い”1000キロ以内にいた場合は、即死するか、数秒以内に火球によって死んでしまうでしょう」

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※東京から「1000km」の範囲。

…仮に同条件の隕石が東京を直撃した場合、種子島以遠と北海道北部を除く日本全域でほぼ全員が即死する事になる。これだけで十分シャレにならないが、このツール開発に協力したガレス・コリンズ氏によれば、

「衝突の9秒後、それを観察できる距離にいた者は、熱放射によってあっという間に焼かれただろう。木や草は自然発火し、周辺にいるすべての生物は一瞬にして全身にひどいやけどを負う。

火の後には洪水がやって来る。衝突の衝撃は、地形によっては最大305メートルの巨大な津波を引き起こす。続いて起こった、リヒタースケールで少なくともマグニチュード10.1の地震は、人類がかつて経験したことのないほど強大なものだったはずだ。」
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※恐竜は何が起こったのか理解せずに死んでいったのだろう…

日本では93年の北海道南西沖地震奥尻島で16.8mの津波が、東日本大震災では福島県・相馬港で9.3mの津波が観測されているが、甚大な被害をもたらしたこれらの津波比較しても字通り「桁違い」津波が沿岸を襲った、というのだ。あべのハルカスが300mだからこの時の波高はあべのハルカスの高さとほぼ同等であった、と言う事だ。しかも隕石が大気圏に突入した際、そして衝突によって発生した熱を受けて下手すれば「お湯」の津波となりかねない。こんなのに飲まれたら例え火球の被害を奇跡的に回避できても絶対に御陀仏である。更にマグニチュード10.1とは単純にあの東日本大震災の44倍のエネルギーに相当する。しかも通常の地震と違って地表で起こるに等しいので実際にはもっと大きなエネルギーが地面を揺らすのに働いた筈なのだ。最早想像も付かないレベルであると言っても良いだろう。

その衝撃から8分が過ぎると、地殻から噴出物が流れ出し、焼けた大地を熱い砂と灰で覆い尽くしていく。衝突点に近い場所では、地面は厚さ数百~千メートルを超える岩屑の下に埋まっただろう。更に衝突からおよそ45分後、一陣の風がおよそ時速965キロ(マッハ0.78)で一帯を吹き抜け、岩屑を撒き散らし、立っているものをすべてなぎ倒す。同時に、低空飛行のジェット機が放つ轟音のような、105デシベルの爆発音がやってくるというのだ。

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※しかも現在と違って大西洋が小さかったので津波の被害は更に大きかったに違いない。

そして10兆トンの二酸化炭素、1000億トンの一酸化炭素、さらには1000億トンのメタンが一気に放出され、それらによって結果的に「核の冬」「激しい温暖化」というWパンチを当時の生物は喰らった事になる。恐竜でなくても一堪りもないのは明白だが、それでもその様な地獄絵図を生き延びた一部の生物群がいたからこそ、現在我々が居るのである。

…とは言え、直径10キロクラスの隕石が地球に衝突する可能性は常にゼロではないし、最悪なのは事前にそれを知ったとしても対処する術が殆どないのが実情である。映画と違って宇宙船で気軽に破壊しに行く、なんてそうそう出来まい。日頃の監視は怠れないが、直径10キロクラスの隕石が衝突すると言うのは破滅的被害をもたらす事は6500万年経っても変わらない。過去を知ることは重要だが、このレベルになると判った所で「戦慄」しか感じ得ないだろう。実に恐ろしい出来事があったのだと戦慄せずにいられない。
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※日本の地層でも「K/T境界」の痕跡はあるらしい。