癒しと和みの深海イカ

イメージ 1
※見るからに禍々しい「ヒレナガチョウチンアンコウ
イメージ 2
※「オニキンメ」。顔がワイルドなのにも程がある。
イメージ 3
※オーストラリア周辺の深海にいると言う「ドラゴンフィッシュ」。
イメージ 4
※「フラッシュライトフィッシュ」と言うアンコウの仲間。
イメージ 5
※2mにも達する深海ザメ「ラブカ」

…のっけから深海魚ギャラリーで恐縮だが、この様に「深海」に住む生物は我々がよく目にする生物からは想像もつかない姿をしているものも多い。元々「光が届かない」「超高水圧」「餌が少ない」と言う過酷な環境である。それらの生物の姿もそういった環境に適応するための進化の結果であると考えられなくもない。

…とは言え、深海生物の全てが禍々しかったり、ワイルドさを極めたかの様な姿をしている訳ではないらしい。アメリカ・カリフォルニア沖水深900mの地点を探査した科学者達が遭遇した生物はそんな「禍々しさ」や「ワイルドさ」とは無縁の生物であった。

イメージ 6
イメージ 7
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160819-00010001-nknatiogeo-sctch

イメージ 8
※深海生物の全てが禍々しかったりワイルドな姿な訳ではない。

その時の様子は動画でも見られるが、調査船に乗っていた人達が「失笑」してしまう程の「可愛らしい」生物がそこにはいたのだ。
イメージ 12
※ボウズイカと同じ路線の深海生物「ダンボオクトパス」。目の上のヒレが名前の由来。


※上手く再生できないときはコチラから


このマスコットの様な生物、一見タコの仲間に見えるかもしれないが、「ボウズイカという名前が付いているイカの仲間である。名前の由来は言うまでもなくその「丸い胴体」が坊主頭を連想させたからである。日本近海でも生息しているらしく、常磐以北の太平洋深海に生息しているらしい。因みに胴体は10cm前後、全長15cm程になるというからイカとしては小さい部類に入るだろう。
イメージ 10
※アニメに出ていても不思議はなさそうだ。
イメージ 9
※同じボウズイカとは思えない。

イメージ 11
ダイオウホウズキイカの眼球を調べる科学者。右下の透明な物が角膜…デカい。

イカの仲間には大きな目を持つものが多いが、ボウズイカもその例に漏れず、大きな目を活用して光の届かない深海で餌を探しているのだろう。ただし、イカの目は脊椎動物の目とは内部構造が違うらしく、盲点が存在しないらしい。また、ダイオウイカの様な巨大イカの場合はかなりの遠視らしく、これがどうやら深海で天敵のマッコウクジラを発見するために役立っているようなのだ。…と言っても深海でクジラを直接視認するのではなく(獲物など水中の物体を識別する能力は、水の光学的性質によって限定されるらしい)マッコウクジラが移動するとき、微小な発光生物が押しのけられて、クジラの後ろにかすかな光跡ができる。これがイカにとっては天然の警告サインになると言う訳だ。要するに集光能力を高めていった結果らしいのだ。そういう仮説もあるらしい。

…不肖筆者は体験したことがないが、時々水揚げされることもあり、食用にされる事もあるという。やはり一番怖いのは人間なのかも知れない。

尚、イカの仲間は皮膚に色素細胞を持っており、本人の精神状態や周囲の状況で体色を自在に変化させられる。写真のボウズイカの体色が紫なのはこのイカから見れば謎の光を放つ巨大な物体が接近してきた事が原因だろう。身の危険を感じているのか?深海ではまず有り得ない強い光に驚いているのか?

「前面がまぶしく光る巨大な機械が現れ、体が固まってしまったのだと思います。見つからないように隠れているつもりなのでしょう」

とは米国自然史博物館の頭足類の専門家マイケル・ベッキオーネ氏の分析である。写真だけを見ればペットにしたくもなるが、そこは深海生物。それは難しいだろう。