朴槿恵弾劾決議案可決。新たな混乱の始まりだ。

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※こうして朴槿恵の弾劾決議案は可決された。

朴槿恵の弾劾決議案は可決された。国史上2人目の不名誉な出来事である。蓋を開けてみると賛成234票、反対56票、棄権2票、無効票7票だった。一人欠席したセヌリ党の議員が居たそうなので合計は299票となる。
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盧武鉉の時の野党の党利党略とは訳が違う。

セヌリ党議席数は128だったので棄権や無効票をセヌリ党議員のものとして計算してもなんとセヌリ党から66人が賛成票を入れた事になる。…半分以上だ。これだけの造反者を出したセヌリ党も分裂する可能性を孕んできたとも言えるだろう。…コレでは次期大統領選挙どころの騒ぎではないだろう。現時点で次期大統領の有力候補すら名前が出ないのでは敗北は必至である。
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※弾劾決議には「セウォル号沈没事故関連」の理由も含まれている。

弾劾決議案が可決され、決議書が国会から大統領府に届いた瞬間、朴槿恵の「大統領としての権限」は停止される。実際にどんな事になるかと言うと…?

韓国の大統領が憲法上で持つ権限は

▼国軍統帥権
▼条約締結批准権
▼赦免・減刑復権
▼法律案の拒否権
国民投票の付議権
憲法改正案の発議・公布権
▼法律改正案公布権
▼予算案提出権
▼外交使節接受権
▼行政立法権
▼公務員の任免権
憲法機関の任命権

…など多岐に渡るがこれら全てが行えなくなり、首相の黄教安が代行する事になる。また、

閣議の主宰
▼政府機関からの報告聴取・指示
▼政策現場の点検

行う事が出来ないので、官用車や専用機は利用出来るとは言え、使い途はほぼ皆無である。それでも一応弾劾によって罷免されるまでは朴槿恵は「大統領」なので、大統領府官邸で生活は可能なのだそうだ。何故か基本給は支給されると言うが、これを韓国人が納得するとは考えにくいだろう。
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※国会前に集まった人々。

また、弾劾によって罷免された場合、韓国の「前職大統領礼遇法」に基づく待遇、年金や秘書官、運転手の支援、無料診療なども受けられなくなると言う。「警護人員が付くだけ」なのだそうだ。
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※何処か発言が他人事…

そんな朴槿恵は弾劾訴追案可決を受けて

「安保、経済が困難な状況で、私の不徳と不覚のため、このような大きな国家的混乱に直面し、国民の皆さんに心から申し訳ないと思う」

と、述べたそうだが…
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2016120900835&g=int

どうも「この期に及んでも事件を他人事」と見ている節があるようにも思える発言である。

「このような大きな国家的混乱に直面し」

と言うが、その「大きな国家的混乱」とやらは己の所業が原因であると言う認識が微塵も感じられない。「安保、経済が困難な状況」と言うのもこれまでの朴槿恵本人(と崔順実)がしてきた事の結果ではないのか?事此処に至って尚、「自分は悪友に嵌められた『悲劇の大統領』と言う被害者」だとか思っているんじゃないだろうな?ここで「被害者ビジネス」では余りにも醜悪極まりない。…それとも憲法裁判所の審理で勝てる、と踏んでいるのだろうか?
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※と、言う声が韓国人の総意の様だ。

その憲法裁判所の裁判官9人だが、よりによって所長の任期は来年1月までである。このポストは大統領が指名し、国会の同意を経て任命されるが、現在の状態では任命すらままならない状況だ。一応所長ポストが空席でも裁判官の互選で代行を決める事で機能を維持できるそうだが、その際選ばれるであろう最も任官日の早い裁判官も3月末で任期満了。つまり審理が長引けば裁判自体が「結果ありきの人民裁判」でもない限り朴槿恵に有利になる可能性は高い。

かつて弾劾された盧武鉉の場合、本人が事実関係を認めていたが、憲法裁判所の判断には63日かかったと言う。(結果は棄却。)朴槿恵弾劾案件は現在の憲法裁判所の裁判官のままの53日以内に判断を下せるのか?しかも本人は容疑を否認している様なものだ。盧武鉉の案件より困難な事は間違いないのだが…
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※結果がどうあれ最後は「御用」になるのは確実であろう。

盧武鉉の場合は「本人の違法行為はあった」と認定されたものの、それが「罷免に該当する様な重大な違反」とまでは認定されなかった。また、弾劾それ自体が野党の党利党略に等しく、弾劾が逆に国民から反発され、弾劾直後の総選挙では与党が勝利する結果になった。しかし、朴槿恵の場合は逆に等しい状況だ。憲法裁判所と言えど韓国では国民世論に左右されやすい模様で、このまま事態が沈静化しなければ朴槿恵は自身で無実を立証出来なければ罷免される可能性は高いだろう。だが、「これで終わり」ではなく、それは「新たな混乱」の始まりでしかない。そういう道を選んだのは他ならぬ韓国国民と彼等の選んだ大統領、朴槿恵である。気が済むまで勝手に続けていれば良いが、日本への迷惑だけは絶対に御免蒙りたいものだ。余計な面倒に捲き込まれない様に日本も注視が必要である。
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※この約束は実行されるのだろうか?