恐竜の卵は孵化までに相当時間がかかった?

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※今回サンプルになったヒパクロサウルスの復元図と骨格。

恐竜が卵から孵化するまでの期間が我々の想定を遥かに越えるほど長かった事が判った。
   
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170104-00000077-jij-sctch

フロリダ州立大などの研究チームは、大型草食恐竜ヒパクロサウルスと、モンゴルで発見された小型草食恐竜プロトケラトプスの卵の化石を調査し、歯の成長に伴って残る年輪のような細かい線をX線コンピューター断層撮影(CT)などで分析し、孵化までの期間を推定した。プロトケラトプスの卵は194g、ヒパクロサウルスの卵は4kgにも達するものだそうだが、研究結果によれば3ヶ月から半年もの期間を要したのだと言う。

現在生存している生物で恐竜に最も近いのは鳥類であると言われている。その鳥類の抱卵期間は以下の通りで、基本的には大きな種程、その期間も長くなる傾向が見受けられる。これは哺乳類でも同様で、体の大きな種程妊娠期間は長くなる傾向があると言える。

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※鳥類の抱卵期間と哺乳類の妊娠期間。

抱卵期間が長いと親はそれだけ卵や子育てに手間がかかる事を意味する。勿論親の負担も大きくなる。例えばペンギンは卵を抱いて2ヶ月絶食する。勿論そうなる前に食い溜めはしているが、それでも体重は30~45%ほど落ちると言う。壮絶な子育てだ。

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※卵を抱く鳩。

ところが恐竜はそれ以上の過酷な子育て環境だったと言うのだから恐れ入るが、そもそも恐竜が鳥類同様に抱卵していたかは疑問がある。

確かに抱卵していた事が判っている恐竜もいる。それは鳥に近い種の肉食恐竜だが、今回サンプルになったのは鳥類には繋がらない草食恐竜だった。大型恐竜ともなれば鳥類同様に抱卵すれば親の体重で卵が潰れかねないだけに、例えば枯れ葉を被せてその発酵熱で卵を温めていた可能性もあるだろう。それでも相当な期間、卵を外敵から守る必要があるので親の行動は相当制限される事になる。故に雌だけでなく雄も恐らくは子育てに協力はしていたのだろう。

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※恐竜の卵の化石(レプリカ)。この卵の主はオヴィラプトル。

また、産卵にも謎がある。小型の恐竜はともかく、4kgもの卵を産む恐竜となれば体も相当大きい。そのまま産卵すれば地面で悉く割れる結果になるので、卵の殻の強度を上げるしかないが、殻が余りに頑丈だと今度は子供がその卵を割って孵化するのが大変になる。

その特徴が生存競争に不利になって絶滅の原因の一つになった、とも言えそうだが、それでも恐竜は絶滅したが、他の爬虫類は6500万年前の大量絶滅を生き延びた。それだけで論じることは難しい。
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※化石からは様々な事が判るようになった。

いずれにしても現在生存している恐竜がいないだけに全ては憶測から始まる。だが、技術の進歩でキチンとした科学的根拠を基にそういう事が判るようになったのだ。これからも恐竜については謎と化石記録を研究する事で得られるデータを基にした解明が続くだろう。それが恐竜が人々を魅了する理由の一つなのかもしれない。