このタイミングでの日韓外相会談に意味はあるのか?

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※外相会談をしたところで事態の解決には繋がらない。

10日金曜日の事だったが、韓国・中央日報

「韓国外交部が16~17日にドイツで開かれるG20外相会合で日韓外相会談の開催を検討している」

と、報じていた。釜山の日本総領事館前に出鱈目慰安婦像が設置され、日本が駐韓大使を召還して1ヶ月が経過。事態沈静化の兆しが全く見通せない中で、韓国側が事態の打開を模索している事が窺える。
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※その「努力」とは「出鱈目慰安婦像の撤去」である。

それについて辺真一氏が解説をしていたのだが…どうも違和感満載の内容である。
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http://bylines.news.yahoo.co.jp/pyonjiniru/20170212-00067612/
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※日本政府の立ち位置はここであり、動かす事は不可能である。

そもそも「検討している」と言う段階で外相会談が行われる、と決まった訳ではない。と、言うか日本としてはその提案を「拒否する」と言う選択肢だって当然ながらある。ここで外相会談を開いた所で尹炳世が出鱈目慰安婦像の撤去を確約するとは思えないし、日本政府としては

「出鱈目慰安婦像を日本公館前に設置するのはウィーン条約違反」

として大使召還を行った以上、その国際法違反」が韓国側によって解消されない限り大使を韓国に戻す大義名分はなく、逆に解消されない現状で大使を戻す事は「日本側の譲歩」「公館前の出鱈目慰安婦像の追認」に繋がる。筋を通すなら「戻さない、と言うより戻せない」と、言う表現の方が的確であろう。
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※「最終的かつ不可逆的」さえ守れない相手の言葉は信用に値しない。

…仮に外相会談で尹炳世が出鱈目慰安婦像の撤去を確約したとしても韓国ではどの道今年中に大統領選挙が行われる。出鱈目慰安婦像の撤去どころか日韓合意さえ破棄しよう、なんて候補が当選する可能性が極めて高いのは明らかなのだから、約束するだけして新大統領就任まで時間を稼いで新政権がそれを覆す、なんて事になるのは十分有り得るシナリオである。尹炳世が約束したから、と日本が大使を先に韓国に戻してそうなったら「バカを見る」結果しか残らない。要するに現状でこの国との「約束」「合意」など形式が条約だろうが何だろうが「不渡り確実の手形より信用ならない」代物だ。と、なると「出鱈目慰安婦像撤去」と言う「行動のみ」が信用に値する、と言いたいがそれでも甘い。この国の場合、

「今回は撤去したが後日位置をずらして別の市民団体が設置」

なんて事も有り得るだけに「出鱈目慰安婦像撤去」だけでは足りず、「再発防止策の徹底」もセットでなくては話にならない。裏返せばそれが外相会談の大前提であり、そうでなければ会談は形式的なもの以上の意味を持たないと言える。ドイツまで行ってわざわざ貴重な時間を割いてまでそれを行う意味はあるまい。他の国の外相と会談した方が遥かに有意義であるのは疑いの余地がない。
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※日本政府はこの民意に応える義務がある。

…そういう理由で「会談を行う必要はない」と言えるが、拒否すれば民進党あたりが政権批判に利用するのは目に見えている。かつて朴槿恵が安倍首相との会談に条件を付けていた時に安倍首相が

「関係が困難だからこそ話し合いが必要」

と言っていたのを逆手に取られるのも癪に障るだろう。それ故韓国側から正式に申し入れがあれば日本政府としては会談を行うと思われるが、形式的なものにしかなり得ない以上、ここでの外相会談は事態打開の糸口にはならない。精々「合意の精神を尊重して問題解決にあたる」と言ったお手盛りの確認が関の山である。
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※韓国が見せているのは「誠意」の対極にあるものである。

そもそもこの記事の立ち位置として決定的に不可解なのは

《この対立、どこかの時点で折り合いを付けないと、いつまで経っても拳は下ろせないだろう。》

として恰も日本にも責任があるかの如く受け取れる表現をしている事である。日本側は

国際法違反」

として問題視し、韓国側が改善しないから対抗措置に出たのだが、それについては記事は一言も触れていない。この問題は

「『国際法違反』と日本側が指摘した問題に韓国側がどう対応するか」

が問われているのであって、ボールは日本側にはない。記事では

《韓国内にも膠着状態の長期化は望ましくないとして落としどころを模索しているふしもみられる。》

と、言うがそもそも「落としどころ」など最初から存在しない。あくまで韓国側が「出鱈目慰安婦像を日本公館前に設置するのがウィーン条約違反でない」と、言うならそれなりの根拠を挙げて反論すれば良いだけの話である。それが出来ないなら国際法違反を認めて適切な対処をとるしかないが、それについてコメントがない、と言うのは事態の分析に問題があるのか?それとも記事が偏向しているのか?
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※故に手にしたカードは有効活用しよう。

…いずれにしても韓国側から動きを見せる、と言うのはこの膠着状態が続けば困るのは韓国側だ、と言う意味である。理由はスワップ韓国が締結しているスワップは相手国の通貨とのものだが、日本はドル建てだっただけに韓国にとっては有り難いモノだったのである。そしてそのスワップの協議を止められては困る程韓国経済は危機的状況なのだろう。と、なればその大きなカードを有効活用しない手はない。そしてそうである以上、日本側が情けをかけたり、譲歩する理由は道義的にも法的にもその他如何なる立場からも「ない」のである。そういう前提を欠いた記事に何処まで意味があるのかは不明だが、事態はそういう事である。
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※と、ここで韓国を突き放す必要がある。