「悪魔のカエル」は恐竜をも補食していた?

本日は衆議院選挙の投票日。言いたいことは沢山あっても下手な事を書くとこちらが公職選挙法違反になりかねない。20時までは選挙に関する発言は封印させて頂き、結果について触れる事にする事をご了承頂きたい。

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…そんな訳で今回のテーマは選挙とは無関係の「カエル」の話である。

アフリカ・マダガスカル島で発見されていた白亜紀に生息していた化石種のカエル「ベールゼブフォ」、体長40cmを越え、体重も4kg以上と推定されるこのカエル、何と恐竜をも補食していた可能性が指摘されているのだ。
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このカエルが発見されたのは1993年の事だが、その時から既に「何を食べていたのか?」と言う議論はあったのだと言う。現在南米に生息しているツノガエルと近縁であるとは言われているものの、サイズはカエルにしては規格外の大きさだ。そういう疑問が出てくるのは当然であろう。

現生種のカエルは主に昆虫を捕食したりするが、大抵の場合「噛み殺して補食」ではなく「丸呑み」である。しかし、南米に生息しているツノガエルは他のカエルに比べれば咬合力は強大なのだと言う。ベールゼブフォがこれらのツノガエルと共通の祖先から分岐した種であると言うから、ベールゼブフォもそれなり以上の咬合力があった、と考えられる。そこでツノガエルの咬合力を調べたところ、最大で32.9Ntの咬合力を測定したのだと言う。この結果を基にベールゼブフォの頭部の幅と身体のサイズに換算すると、最大で2200Ntの咬合力を持っていたことが推測されるのだと言う。

現生種の倍はあろうかと言う図体にしても咬合力は66倍。余りにも強力過ぎる。人間の通常の食事での咀嚼は70~150Nt、最大でも500~700Nt程度だと言う。つまりベールゼブフォの咬合力は人間を遥かに上回る強力なもので、このベールゼブフォの推定値はオオカミのそれに匹敵する数字だそうだ。もし、ベールゼブフォが現在も生息していて人間に噛み付こうものなら間違いなく大ケガをするだろう。「殺人ガエル」なんて呼ばれて怖れられていたかもしれない。

因みにアリゲーターの咬合力は、最大で9452Ntと言うのが現在知られている最高記録らしい。地球上に出現した生物でこの部門で最強とされるティラノサウルス・レックスの場合、その咬合力は、なんと18万3000Ntから23万5000Ntと推定されているからこれは「規格外」だと言って良い。

ベールゼブフォが現生種のカエル同様に昆虫等を補食していたのであればここまでの咬合力は必要ないであろう。つまりこのカエルはそれだけの咬合力を必要とする大きな獲物を補食していた、と言う意味である。

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復元されたベールゼブフォの推定骨格からはこのカエルが口を大きく開ける事が可能であった事が判る。恐らく自分の図体に匹敵するか、それ以上の大きさの生物まで補食していたかもしれない。しかしこの図体ともなると積極的に動き回って狩りをしていた、とは考えにくく、「待ち伏せ」で獲物に奇襲をかけて補食していた、と考えるのが自然であろう。そしてそれだけの咬合力を発揮する必要のある獲物、と言えば昆虫などではなく小型の脊椎動物、魚や別種のカエル、爬虫類が思い浮かぶであろう。…恐竜も例外ではない。
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勿論幾らこのカエルが強大だと言っても数mもの体長の恐竜を補食出来る訳がない。勿論数十cm程度の大きさの小型恐竜やそのサイズの幼体である。とは言え

「恐竜を補食していた生物なんていたのか?」

と言う疑問を抱く方もいるかも知れないが化石種の哺乳類である「レペノマムスと言うネコ程の大きさの哺乳類の化石からは胃があったあたりに、かみ砕かれた幼い恐竜の骨が残っていた例がある。「恐竜を補食していた生物が存在していた」と言うのは間違いない。ベールゼブフォがそうしていた可能性がある、と考えるのは合理的な事であると言えるだろう。

「ベールゼブフォ」とは「悪魔のカエル」と言う意味らしい。恐竜をも補食していたのならば実にピッタリなネーミングではないか。世の中、まだまだ「知られざる猛者」がいるものである。