NHKも放映した「弁護士大量懲戒請求」事件

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NHKも取り上げるとは…

以前取り上げた

「余命三年時事日記」

による弁護士大量懲戒請求事件、29日にNHKクローズアップ現代+」でも取り上げられていた様なのだ。
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事件の経緯を超簡単に言うと、

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余命三年時事日記」で「朝鮮学校への補助金支給に賛同するのは違法行為」だとして標的にした弁護士への懲戒請求を呼び掛け、それに応じた約1000人が弁護士一人当たり数百から数千もの懲戒請求を送付、これに対して懲戒請求を受けた弁護士の何人かが名誉毀損業務妨害で法的措置に出ている、と言う案件である。

NHKがどのようにしてこれを把握したのかは謎だが、懲戒請求した人について、NHKはこの様なデータを示していた。

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※どうやって調べ上げたのだか?

冷静に考えれば判る事だが、余命ブログの主張通り

朝鮮学校への補助金支給」

が私学助成を禁じた憲法89条に違反する、としても、また(実際は違うが)弁護士がそれを認識していた上で確信的に主張したとしても「直ちに憲法違反」となるわけではない。その様な弁護士の言動があったとしてもそれを裁判所に「憲法違反」と事実認定して貰う為には

「その言動と因果関係のある実損害」

の証明がなければ極めて困難であろう。極端な話だが、朝鮮学校への補助金支給を決定付けたのは弁護士の議会での証言で、その財源は生活保護の資金を削減して捻出され、それが故に受けていた生活保護の額が減額され、生活が成り立たなくなった、と言う様なレベルでも認められるかどうかは正直判らないだろう。要するに「相当ハードルは高い」と言う事だ。

単に目的が「標的にした弁護士の資格剥奪」だったとしても「表現の自由」「言論の自由」「思想信条の自由」の観点から「外形的に憲法違反」と言える言動が弁護士にあったからと言って直ちに「弁護士の品位を貶める行為」とまでは言い難い。つまりこの構想には最初から無理があった、と思わざるを得ない。
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※これらの声に対するNHKの回答はなかった…

だが「弁護士への大量の懲戒請求」が問題になるのはこれが初めてではない。2007年には橋下徹氏がTV番組で99年に発生した「光市母子殺害事件」の弁護団について

「あの弁護団に対してもし許せないと思うなら、一斉に懲戒請求をかけてもらいたい」

と、発言し、実際に被告人の弁護団に大量の懲戒請求が寄せられた一件があった。少なくともこの事件でこの弁護団は良くも悪くも「一般常識では到底理解不能な」被告人の否認の主張をベースに弁護活動をしていた。だが結果的に実際に懲戒された弁護士は弁護団には居らず、それでも弁護団の弁護士は橋下徹氏を相手に「名誉毀損業務妨害」で訴訟を起こしている。最高裁まで争った裁判では橋下氏の発言が配慮を欠いた軽率な行為だったこと及び弁護団が橋下氏の発言及びそれによる懲戒請求によって一定の負担を余儀なくされたことを認定したが、橋下氏の行為が「懲戒請求自体ではなく呼びかけ行為」であること、娯楽性の高いテレビ番組での発言であったことや、橋下氏の発言は「弁護団が被害者に対する配慮が欠けることを懲戒事由にあたる」としているのではなく、「被告人の否認の主張を維持することが被告人に不利益な弁護活動になる」として懲戒事由にあたると考えたものであること(=橋下氏が懲戒請求に理由がないことを知りながらあえて呼びかけ行為をしたとの原審認定を覆している)、インターネット上に掲載された懲戒請求の書式を使用して容易に懲戒請求が出来たことが大きく寄与していること、弁護士会懲戒請求の処理が一括で終えたこと、原告らの弁護人としての社会的立場等を考慮し、原告の受忍限度の範囲を越えないものとした。なお、同判決は弁護団に対する懲戒請求そのものについての違法性は判断していない。 またこれとは別にこの事件の弁護団の弁護士が橋下氏を2009年に提訴しているが、こちらも最高裁で橋下氏の勝訴が確定している。

この件を余命ブログ自身が言及しているので余命ブログ主はこの件での最高裁判決を念頭に作戦を立案したのかも知れないが、この一件で懲戒処分を受けたのは(判決確定前だったが)橋下徹氏の方である。それは橋下氏が「弁護士であった」からなのだが、弁護士でない余命ブログ主はそうならない、と判断して作戦を実行させたのであれば「その認識は甘かった」と考えるよりない。余命ブログ主の正体は謎だが、毎日新聞は「元タクシー運転手の70代男性」としている。NHKはどこで調べ上げたのか謎だが、余命ブログ主に接触する事に成功した様だ。だが、

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※本人なら余りにも無責任。

と、余りにも酷い対応であった。この映像だけでは対応したのが余命ブログ主本人かどうかは確認できない。また、この放送当日の記事では

ねつ造、偏向の塊となる可能性が高い。」

と、予測していたので、対応したのが本人だったとしても敢えて適当な事を言っていた可能性もある。結局の所この余命ブログ主の真意にはNHKも辿り着けていない、と言えるだろう。

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※だからと言ってネットがフェイクばかりで既存のマスコミが正しい、と言う訳ではない。

結局番組としては

「この様な一件が起きたのはネット特有の性質のせい」

と言う事にしたいらしい。フィルターバブル、エコーチェンバーと言った事象を理由に

「ネットでは不正確な偏った情報が氾濫している」

と、TVや新聞の方が正確、と、主張したいらしい。

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※大事な事を見落としている。

余命ブログでは懲戒請求した対象の弁護士に請求者の個人情報が漏れる事はない、としていた。だが実際には懲戒請求先の弁護士には請求者の氏名、住所などの情報は伝わっていた。これは余命ブログが読者を騙した、と言うより

弁護士会懲戒請求情報をそのまま当該弁護士に開示していた」

事を知らなかった為である。弁護士会のそういう内情を弁護士でないであろう余命ブログ主が想定していなかったとしても不思議はない。余命ブログ主と連携した小坪しんや議員がブログで述べているが、小坪議員によって明らかになった事である。

この弁護士への「大量懲戒請求」で余命ブログ主が何を考えていたにしろ、この一件のせいで弁護士会

「今回の様な懲戒請求は本来の趣旨に反する」

として以後取り合わないと言う。これで余命ブログ主の戦略もお仕舞いか、と思いきや、余命ブログ主は昨日、懲戒請求対象の弁護士数名を提訴したらしい。尚更何を考えているのか理解に苦しむが、確実に言える事は

「余命ブログ主VS弁護士」

の戦いはまだまだ続く、と言う事だ。正直どちらも支持する気にはなれないが、この一件、世間の関心は高い模様だ。弁護士相手に余命ブログ主がどう対応するのか?お手並み拝見、である。