北方領土返還の道筋が出来たのか?

イメージ 1

安倍首相とプーチン大統領との首脳会談がシンガポールで行われた。これで23回目だと言う。議題に北方領土問題が挙がった事は言うまでもないが、

「3年以内に日露平和条約締結」

と言う具体的な目標を明らかにした。

イメージ 2

安倍首相は

イメージ 3
※だからと言って安易な譲歩は禁物。

この様に述べ、領土問題解決の意欲を表明したが、ここで簡単に日露の国境線の変遷をまとめると以下の様になる。

イメージ 4
※日露国境線の変遷。

一見して明らかな様に19世紀の時点で国際法上「択捉島までは日本領」であり、「千島列島」とはその先を言うのは明らかだ。またロシアによる北方領土占拠は

「当時有効だった日ソ中立条約を無視して」
ポツダム宣言受諾後に」

行われたものだ。ロシアは

第二次世界大戦の結果得た領土」

と言うが実際は

第二次世界大戦時の国際法違反行為によって不法占拠している」

と言うのが国際法的にも、歴史的事実からも正確な表現であろう。

そしてこの問題はソ連サンフランシスコ平和条約に署名しなかった事で、日ソ(日露)間の最大の懸案として今に至っている。

※「進展」があったと言えるのか?

「日露間で平和条約を締結する」と言う点に付いては日露双方がその必要性を認識しているが、日本は

北方領土の帰属が日本にあると確認してから平和条約締結」

と言う姿勢なのに対してロシアは

「平和条約を締結して色丹島歯舞群島を日本に『引き渡して』この問題はおしまい」

と言う狙いなのは明らかだろう。そこで

「先に平和条約を締結して確実に色丹島歯舞群島を返還して貰い、後に択捉島国後島の帰属に決着を付ける」

と言う「2島先行返還論」とでも言うべき考えがある。この考えのメリットは平和条約締結によって領土が(微々たるものだが)取り戻せる事、そして平和条約によって安全保障面でロシアの脅威が減少する事であろう。だが、択捉島国後島の帰属問題の交渉は白紙なのでここでロシアに「幕引き」とされるリスクが非常に高い。また「4島一括返還」が日本政府の方針なのでそれにそぐわない。だが、今回

イメージ 5
※「振り出しに戻る」じゃないよな?

と、表明した事は

イメージ 6

と、これまでの「4島一括返還」からの「方針転換」とも受け取れる。勿論択捉島国後島の帰属問題交渉の継続に関するプーチンからの言質はない。安倍首相には何か「秘策」でもあるのだろうか?それどころかプーチン

※流石プーチン、一筋縄では行かない。

色丹島歯舞群島の返還」にさえ、

「米軍基地を置かない事を日米の『公式な合意』で表明」

する事を条件にしようとしているらしい。やはりこの男は一筋縄では行かない。

イメージ 7
※面積折半だとこの様な国境線が想定される。

日ソ共同宣言通りの2島返還なら日本の完全敗北、と言う結果になるが、形はどうであれ、4島返還なら(本来はそれが当然なのだが)ロシアの完全敗北、となる。どちらもかつてプーチンが口にした「引き分け」とは言えない。と、なると今回の会談で

「2島返還+α」

又は

「3島返還+α」

のいずれかをベースにした何らかの提案がなされ、それで合意があったからこそ、あの様な発表があったのではないだろうか?例えば「2島返還+α」なら残りの2島の帰属問題交渉の確約や2島の帰属を国際司法裁判所で判断して貰う、とか。「3島返還+α」なら「面積折半」や「3島+漁業権」とか。若しくは事実上日本が買い取る形になる、とか。色々考えられるが全ては推測の域を出ない。正式な発表を待つしかないが、そこで安倍首相とプーチンの出した結論を我々は納得出来るのだろうか?恐らく多くの人が「不安と期待が半々」と言う所ではないのだろうか?

いずれにせよ、平和条約締結の時を待つしかない。どういう結論を導き出すのか?安倍首相にはくれぐれもプーチンの罠に嵌まる事のない様願うばかりである。