猛毒を持つカニがいる?
※左上から時計回りに毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、ワタリガニ。タラバガニは脚が6本なのでカニの仲間ではない。
冬はカニの美味しい季節である。しゃぶしゃぶや鍋も美味だし、刺身でも勿論美味しい。カニ味噌汁などそれだけで贅沢な気分になれると言うものだ。食材としては高価ではあるが、それに見合った価値はあると言っても良かろう。
食用にされるカニの種類も豊富でズワイガニや毛ガニ、ワタリガニ、どれも美味しい。(タラバガニは正確にはカニではない。)…が、全てのカニが食べられるのかと言うとどうもそうではない様だ。
http://www.sankei.com/west/news/161110/wst1611100018-n1.html
※コレが毒のある「ウモレオウギガニ」
和歌山県すさみ町の沖合で猛毒を持つカニの一種である「ウモレオウギガニ」がイセエビ漁の網にかかり、「町立エビとカニの水族館」のスタッフが捕獲したのだと言う。
「ウモレオウギガニ」は日本国内では鹿児島から沖縄にかけてのサンゴ礁の海に生息する南方系のカニ。大きいもので甲幅は約9センチあり、全体が茶褐色をしているのだと言う。今回見つかったカニは、甲幅約4センチと小さい部類なのだと言うが、侮るなかれ。
筋肉中に麻痺性貝毒の一種「サキシトキシン」やフグ毒でも知られる「テトロドトキシン」があり、甲羅からしみ出してくる(!)という。毒は人体に入ると0.5mgの摂取で死に至ると言うから食用にするなど自殺行為以外の何物でもない。「テトロドトキシン」には有効な治療法や解毒剤が未だに存在せず、摂取したらまず間違いなく三途の川を渡る事になる。実際過去に、このカニを味噌汁で食べ、2人が亡くなった例があるのだと言う。
※こちらも毒持ち「スベスベマンジュウガニ」。
…それだけではない。千葉県~沖縄県に広く生息している「スベスベマンジュウガニ」と言うカニも毒ガニなのだと言う。体長は約5cmほどで、フグ毒のテトロドトキシンをはじめ、麻痺性の毒「ゴニオトキシン」をも併せ持つ猛毒ガニだそうだ。茹でて出た出汁だけでもあの世行きは確実だそうで、文字通り「煮ても焼いても喰えない」カニである。
※こちらの「ツブヒラアシオウギガニ」も食べたら死んでしまう毒がある。
また、インド洋から西太平洋の暖かい地域に生息する「ツブヒラアシオウギガニ」と言うカニも先述の「ウモレオウギガニ」や「スベスベマンジュウガニ」同様、テトロドトキシンやサキシトキシンの毒を持っているのだと言う。このカニを食べて中毒死した例が日本でも3件あると言うから余程の知識がない限り自分で捕まえたカニを食べよう、なんて思わない方が賢明なのかもしれない。
※タラバガニとアブラガニの見分け方。
※ズワイガニと紅ズワイガニは似て非なるカニ。
尚、自分で生きているカニを買ってきて調理するのでなければ、脚だけの冷凍ものが意外にも品質は安定していると言う。また、毛ガニやズワイガニは茹でた方(茹でる時の塩分は4%程が良い)が美味しいが、タラバガニは蒸した方が美味しいと言う。また、ロシアからの輸入物でタラバガニそっくりな「アブラガニ」と言うカニがあるが、脚の裏側に色が付いていればタラバガニ、無ければアブラガニなのだそうだ。またズワイガニとは別にそっくりな「紅ズワイガニ」と言うのもいるが、これも裏返して茹でる前から裏側まで真っ赤なら紅ズワイガニ、白色ならズワイガニ、なのだそうだ。ご参考までに。