FNNの奇妙な解説

※少しは国際法を勉強しろ。
 
韓国で自称元慰安婦が「日本政府に」賠償を求めて提訴した訴訟、日本は「主権免除」を理由に「裁判として成立しない」と言う立場なので裁判には参加しない。参加する事は「自ら主権免除を放棄した」同然なのだから、その判断は当然だ。そんな日本の対応の是非をFNNが解説しているが、ミスリードが目立つ。
 
 
「主権免除」とは、「主権国家は他国の裁判で被告にはならない」というもので、19世紀に成立した「国際慣習法」だ。国の大小を問わず「主権」は平等であり、どんな国の政府も他国の裁判に従う必要は無い、と言うのがその理由だ。
 
だが、それは「万能の免罪符」ではなく、「外国国家と私人や私企業の取引でトラブル」が生じた際など、国家による私法的・商業的な行為については主権免除を適用しない、と言う例外規定がある。日本にもその様な例外規定を設けている。また、不法行為についても同様に「主権免除の対象外」とする考えが一般的である。
 
この点に関してはFNNの解説は「その通り」なのだが、「ドイツVSイタリア」の国際司法裁判所での裁判を引き合いに出した辺りから怪しくなってくる。
 
その一件、「イタリアの民間人が第二次大戦中にドイツに連行されて強制労働させられた」としてドイツ政府に損害賠償を求めた訴訟で、イタリア最高裁はドイツ政府に賠償支払いを命じた。ベルギー、スロベニアギリシャポーランド、イタリア、フランス、セルビア、ブラジルで同様の訴訟が行われ、これらの国ではドイツの主権免除が認められるなどして原告は敗訴したが、イタリアの裁判所では主権免除が認められず、ドイツ政府に賠償支払いを命じる判決が確定した。
 
ドイツ政府は2008年、「主権免除」を理由にイタリア最高裁の判決を無効とする事を求め国際司法裁判所に提訴。イタリア政府は、「国家による不法行為は主権免除の例外という国際慣習法がある」と反論するとともに、ドイツの行為は重大な人権侵害であり「ドイツ政府を相手取った訴訟しか被害者を救済する手段が無いため主権免除の例外になる」とも主張した。だが、2012年に出た判決はドイツの勝訴。
 
「武力紛争中の軍隊の行為については主権免除が適用されるとの国際慣習法が存在する」
 
と言うのがその理由だった。また、
 
「他に救済手段が無い」とのイタリアの反論については、「国際慣習法になっていない」と却下し、
 
「国家による不法行為については主権免除が適用されない」
 
と言う点については判断を示さなかった。
 
これはこれで「主権免除」に関する判例として重視すべきではあるが、問題はこの裁判がそのまま今回の訴訟に当てはまらない、と言う点を無視している事であろう。
 
※先ずは吉田証言の証明から始めてみようか。
 
この訴訟の原告は「日本軍によって強制的に慰安婦にさせられた」等と主張するのはほぼ確実であろう。だが、実際には慰安婦は「強制連行」されたのではなく「民間業者の募集に応じた」者がなった過ぎない。個々の慰安婦には「騙されたり」、「その選択を強要された」ケースがあった事は確かだろうが、いずれにしても「慰安婦制度を利用したのは日本軍」であっても、「慰安婦になるまでの経緯」に日本政府や日本軍が「関与していた」訳ではない。そもそも「強制連行」証拠など一切発見されておらず、あるのは自称元慰安婦の「怪しい証言」だけだ。国際司法裁判所
 
「武力紛争中の軍隊の行為については主権免除が適用されるとの国際慣習法が存在する」
 
と言う判示はそもそも日本と韓国が「武力紛争した事実がない」以上、何の参考にもならない。
 
※募集の主体は民間業者。
 
また、如何に「軍人が利用した」と言っても募集の主体が民間業者であり、慰安婦になるまでの経緯に「不法行為がある」と言うのであれば
 
外国国家と私人や私企業の取引でトラブル」
 
と言う「主権免除の例外」にも該当しない。訴訟の内容が
 
「利用した軍人が料金を払わなかったのでその支払いを求める」
 
とでも言った内容なら時効の問題はさておき、「主権免除の対象外になる可能性」はあるが、この訴訟で原告が最も求めているのは
 
「原告は日本軍の強制連行によって慰安婦にさせられた」
 
と言う「事実認定」であろう。そしてその望みは恐らく叶うだろう。
 
そうなった場合でも、日本が判決に従う可能性は「ゼロ」だ。原告勝訴の判決が確定すれば即、日本はこの件で国際司法裁判所に提訴すれば良い。そうすれば韓国は間違いなく国際司法裁判所から逃げるだろう。そうする事で日本は判決を無視し、原告の手元には「勝訴判決」と言う実効性のない紙切れだけが渡る事になる。それがこの裁判の予想される「結末」である。紙切れ1枚の為に奮闘する自称元慰安婦滑稽でならない。