トランプ大統領の演説原稿をその場で破り捨てた下院議長

※「やって良いこと悪いこと」区別も付かないのか?
 
アメリカの一般教書演説で波乱だ。アメリカ大統領による「一般教書演説」はそれまでの1年を振り返ると共に、これからの1年における施政方針を示すものだ。行政府の長である大統領が立法府で施政方針を示す、と言う事で当然ながら議会はそれに対してその政策を実行可能にする法律の策定、若しくは対案を示す必要があると言えるだろう。だが、下院議長ナンシー・ペロシ
 
トランプ大統領の演説原稿をその場で破り捨てる」
 
と言う挙に出た。
 
立法府による行政府への冒涜」
 
と言うよりない。
 
 
トランプ大統領は意図的に無視したのか?
 
トランプ大統領は演説の為に登壇した際、握手の為に差し出されたペロシ議長の手を無視した。目下トランプ大統領議会で弾劾受けている最中だ。トランプ大統領はこの弾劾裁判に猛反発しているが、制度上、弾劾の可否は下院が、審理は上院が行う。ペロシ民主党。そういう点で「ウクライナ疑惑」の真相がどうであれ、トランプ大統領からすれば
 
「無用な弾劾裁判仕組んだ主犯」
 
としか思っていないのだろう。仮にトランプ大統領が「シロ」であれば尚更だ。
 
今年は大統領選挙がある、と言う事で再選を目指すトランプ大統領にとっても政権奪還を目指す民主党にとっても特に重要な年である。力の入れよう例年の比ではなかろう。それ故か、トランプ大統領の演説内容も経済政策での実績のアピールなど、選挙を意識したものだった。
 
だが、だからと言って演説の原稿をその場で破り捨てて良い、と言うものではなかろう。弾劾でこの両名に遺恨がある、と言うのは理解出来なくもない。トランプ大統領ペロシとの握手を無視した理由がそれであるなら、それはそれで無礼な振る舞いであり、その点ではトランプ大統領にも非はあるだろう。だが、ペロシペロシで通常
 
「ここにアメリカ大統領をみなさんに紹介することを誇りに思います」
 
と言うところを
 
「議員の皆さん、アメリカの大統領です」
 
と、言い換えている。尤も下院議長として「その様な言い回しをしなければならない」と言う決まりがある訳ではないのだろうが、敢えて簡素な言い回しにしている時点で十分に大統領を貶めている、とも言え、そうであればこの時点で「どっちもどっち」おあいこである。
 
※行政府への冒涜でしかない。
 
だが、ペロシは「それに飽きたらず」だったのか、演説終了後にトランプ大統領の演説原稿をその場で破り捨てた。その後、記者にその行動の意図を問われると
 
「他の方法もありましたが、これが一番丁寧でした」
 
と、ペロシは答えたが、それは詭弁であろう。
 
トランプ大統領が握手を拒否した事が原稿をその場で破り捨てた理由、と言うならそうではなく、会見でその非を指摘する方がよっぽど「丁寧」ではないのか?トランプ大統領が握手を拒否したシーンは映像にも残っている。それを見れば事の是非の判断は容易だった筈だ。そういう判断が出来なかった、と言うのであれば、ペロシトランプ大統領の演説中、相当苛立っていたのか?それとも演説内容に反論する材料を見付けられなかったのか?いずれにせよ「冷静さを失っていた」事は間違いなさそうだ。
 
トランプ大統領の演説内容にある「実績」を逐一ファクトチェックした訳ではないが、その内容に「明らかな嘘や誇張」があるのであれば、直後に会見でそれを指摘するなり、反証するなりすれば「一般教書演説で嘘を吐いた」として格好の攻撃材料に出来たであろう。民主党がそうしなかった、若しくは「出来なかった」のは「トランプ大統領の言う実績は事実」と言う印象を与える可能性もあり、民主党にとってはマイナスとなる。本気で政権奪還する気があるのか疑問が湧く。
 
寧ろ演説原稿をその場で破り捨てる、と言う行為は「立法府による行政府への冒涜」と受け取られかねず、そうなれば民主党にとって完全に裏目である。岡目八目の立場で見ていると、民主党の行動は
 
「大統領がトランプでなければ誰でも良い」
 
と言う方針にしか思えない。まるで「安倍が首相でなければ後は誰でも良い」と言う日本の国賊野党と同様の考え方だ。「健全な二大政党制」の一翼の筈の民主党が日本の立憲民主党レベルにまで堕落してしまったのであれば、「トランプ大統領の登場」はアメリカの民主主義をある意味で「破壊した」とも言える。その是非は現段階では判断出来ないが、そうであるならアメリカの民主主義にも「大きな変革の波」が訪れるかもしれない。それがアメリカや世界にとって「吉」かどうかは何とも言えないが…
 
いずれにせよ、民主党が「トランプ憎し」で動けば動くほど無茶苦茶やるようになり、それが明るみになれば「トランプの方がまだマシ」と言う理由で誰が民主党候補であって敗北する危険がある。そういう兆候は既に日本で現実のものとなっている。日本でも「安倍憎し」で野党が幾ら攻め立てても安倍政権の支持率は一定水準以下にはならず、国政選挙では負け知らずとなっている。このままではアメリカの民主党も同様の結末を迎える事にもなりかねない。
 
民主党が本気で政権奪還を目指すなら、日本の国賊野党の言動を研究し、反面教師にする事だ。自分達の路線の末路は既に日本の国賊野党が証明している。そこに一刻も早く気付く事が自分達の目標を達成する秘訣であろう。果たして民主党は大統領選挙までにそれを実践できるかどうか?それが今後の展開のカギである。