フェイクニュースはこうやって作られる

※告発した以上立証責任はある。
 
群馬県草津町女性町議が電子書籍で「町議長に性行為強要された」と告発、議長が真っ向からこれを否定し、逆にこの女性町議を名誉毀損で提訴し、一旦は除名処分が下ったものの、不服申立が認められ復職、しかし、議長や議員ら主導したリコールが成立して結局女性町議は失職した騒動、海外でも報道される事態となってしまっているが、見事なまでに論点がすり替えられている。「フェイクニュース」とはこうやって作られるのであろう。
 
 
「リコール運動は町長や議長をはじめ議員が主導しており、“リコール制度は一般住民のためのもの”という理念に反する理不尽なものだ」
 
と主張する様に騒動を懸念した住民が主導したものではなく、町長や議員が主導した。これを疑問視する声も一部出ており、その主張には一理あるとは言えるが、それでも最終的にリコールの是非を判断するのは住民である事に変わりはないし、そもそもこのリコールの争点は
 
「女性町議が『性行為の強要』告発した」
 
事ではなく
 
「その告発が虚偽である疑念があり、女性町議がキチンと説明出来ていない」
 
事が騒動が世間に知れ渡り、町の信用を毀損する結果になった事への責任を問うものであった。結果は有効投票の実に9割がリコール賛成。それだけこの女性町議の告発が信用に値しない代物だった、と受け止められたのであろう。
 
※確かに異様な呼び掛けではある。
 
 
「彼女が町長からの性暴力を訴えた後、その町は彼女を攻撃した」
 
と題して


「この事案は、日本で性暴力被害を告発する女性が直面する困難を浮き彫りにしている。日本では、こうした被害を訴え出ることは極めて少なく、オープンに議論されることはめったにない」

 
等と論理を展開。争点は前述した様にそこではない。
 
またガーディアンは、
 
「彼女の苦境は、日本の地方や国の政治における男性支配(の実態)を浮き彫りにした」
 
等と主張したそうだが、そもそもこれらのメディアの論調には
 
「女性からの性被害の告発=真実」
 
と言う暗黙の前提があるとしか思えない。少なくともこの件では当該女性前町議の告発に対して議長は名誉毀損で提訴したが、自身は議長を刑事告発していない。また、議長の反論に対してこの前町議の主張は曖昧である。本当にその様な事実があり、自ら問題を提起する気概があるならもう少し的確な主張があっても良さそうなものだが…?
 
いずれにしてもこのリコール騒動は海外で
 
「女性の性被害告発への報復」
 
であるかの様に報じられている。その点でこれらのメディアは「フェイクニュース」を報じていると言って差し支えないだろう。それらの海外での報道を見つけて紹介するのは結構だが、それをジャーナリストとして紹介するなら
 
「海外での報道の何処がどう間違っているか」
 
を指摘して然るべきである。そこに一見して疑問を感じたのだが、記事の発行元を見ればこういうスタイルの記事になるのはある意味納得ものである。
 
こういう姿勢が所謂慰安婦問題で海外から誤解を招く原因となったのだが、この記事の作者はその反省がないとしか思えない。こういう所にも「メディアの腐敗」が垣間見えるのである。フェイクニュースの製造工程を見せつけられた気分である。