本丸からズレているNHK改革案

※それだけでは到底足りない。
 
総務省NHKに対し、剰余金を「恒久的に」受信料値下げに充当する事を義務付ける仕組みを制度化する方針の模様だ。通常国会放送法改正案を提出し、具体的な金額等の詳細は省令にて行う、との事だ。
https://www.sankei.com/economy/news/210117/ecn2101170006-n1.html

 

 


NHKNHKで独自に剰余金700億円を受信料値下げに充当する事を発表している。これで衛星放送含めた契約者のみを対象にした場合、一件あたり300円程の値下げになるらしい。一方でNHKは800億円程の留保金を確保したい、との考えを表明したが、これには
 
「200~600億円の剰余金で経営に問題は生じていない」
「確実に受信料収入があるのにそれだけの剰余金が必要なのか?」
 
と言った指摘もされている。また、予定されている省令改正において「200億円程の留保金しか認められない」との観測も出ている模様で、その通りであれば更なる受信料値下げ必至となる。
 
そもそもNHKは「公共放送」なのであって民放の様に「利益を追求する」存在ではない。そういう意味では100億円単位の留保金云々、と言う議論すら筋違いであるとも言えるが、「カネが足りない」事で存在そのものや経営が揺らいでは本末転倒だ。だから多少の剰余金の存在は致し方ない部分はあるが、それよりも重要なのは「スクランブル化」ではないのか?
 
現状ではNHKの番組を見ようが見まいがテレビを購入すれば否応なしにNHKと受信料契約を締結する必要がある。「NHKを見ない自由」はないも同然だ。NHKが「視聴に値する番組」を作っているのであれば兎も角、そうでもないのに受信料だけ払わされる、と言うのは理不尽にも程がある。ここを解決しなければNHK改革は全て「小手先の小細工」で終わる。また、放送法改正案を提出するなら同時に「明らかに意図的な誤報」や「事実を曲解、歪曲した報道」に対するペナルティを創設しなければマスコミの改革には繋がらず、「フェイクニュースに世間が騙される」問題の解決にはならない。特に政治家の発言を切り取って真意とは真逆の意味になるような編集をして「問題発言」を捏造し、国会で野党がそれを追及する、と言った悪循環を根絶させなければ世の中は決して良くならないだろう。NHKの改革は重要ではあるが、それだけが全てではないのだ。
 
マスコミは自らを「権力者の監視者」と自称して「批判する事」が「権力の監視」としているが、実際には「監視すべき権力者より腐敗した存在」でしかない。そしてそんなマスコミを批判する「主権者たる国民」の声はコイツ等に届く事はない。そこを改善するのが政治家の役割なのだが、政治家にその気概はないのか?そうでなければ「国民の付託に応えた」とは言えないのだが?
 
いずれにしてもこの制度、実現する事にはそれなりの意味はあっても「小手先の小細工」に終わり、根本的な改革にはならないだろう。改革の本丸は別の所にあるからだ。だが、何もしないよりはマシだとも言える。政治家は本気で「時代に合った報道の在り方」を模索してその実現の為の法改正を行うべきだ。