【雑談】ナポリタンはイタリア人には邪道?

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※美味いから王道ではないと言う事か。

世界には様々な世論調査がある。昨年11月から12月にかけて大手世論調査のユーガブが世界17ヵ国で「イタリア料理の様々な食べ方の是非」を調査したらしい。それによると

「パスタにケチャップをかける」

事がイタリア人にとっては「容認」7%「容認出来ない」89%と圧倒的に否定的評価が上回ったと言う。やはりイタリア人にはナポリタンは邪道に映るのだろうか?

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https://news.yahoo.co.jp/articles/286cda1be0b5a4d7cfea75dda6440dc5f8ebcd72

御存知の通りパスタをケチャップで和える「ナポリタン」は日本生まれ。イタリアのナポリに似た様な料理がある訳ではなく、起源は諸説あるが、一説によると戦後進駐軍の米兵がパスタにケチャップをかけて食べているのを見たシェフがそれをヒントに考案したのだと言う。「パスタ=イタリア料理」と言うイメージは昔から定着していたのか、イタリアの都市の名前を拝借する事でそういうイメージを作り出す為のネーミングであったらしい。似た様な経緯の料理にドリアがある。ドリアも実は日本生まれ。日本人にはパスタより米、って事でグラタンをアレンジしたものらしい。って、事は某ファミレスの看板メニューは…?うん、これ以上の詮索は止めておこう。

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※ドリアも日本生まれ。

イタリア人にとって「ナポリタンが邪道」なのは日本人が「カリフォルニアロールを邪道」と捉えるのと感覚的には変わらないだろう。どの国でも食文化はあり、それが他国に伝わり、伝わった先の嗜好に合わせてアレンジされる事は当たり前の事なのだが、本家本元としては首を傾げたくなるアレンジがあるのも「あるある」なのである。カリフォルニアロールにしても海苔が巻き寿司の外側にあるのは日本人には常識だが、アメリカ人にはその見た目が酷く悪く映るらしい。だが、巻き寿司に海苔は不可欠だ。だから逆にした、と言う事らしい。

イタリア人も自国の食文化には誇りを持っており、そのこだわりは他国の追随を許さない。例えばイタリアの高級チーズの「パルミジャーノ・レッジャーノ」これはなんと、製造レシピが法律になっているのだと言う。

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※製造レシピが法律故、品質保証も万全。

このチーズは製造手法のみならず原料やその産地に至るまであらゆる要素が法律で規定されている。だから品質保証は万全。高級な訳だ。従って熟成段階でこのチーズは「借金の担保」にもなり、イタリアの銀行にはチーズ保管庫があると言う。それだけ厳格な製造手段と品質が管理されているので生産者はこれで銀行から融資を受けられる。ユニークな話でもある。


…とは言うものの、日本人以外でも実際にナポリタンを食べてみると「意外にイケる」と言う声は意外にある様で、イタリア人の多くも「食わず嫌い」の類なのだろうか?それとも

「ケチャップなんぞで手抜きせずにトマトソースくらい作らんかい!」

って、事なのだろうか?「パスタにトマトソース」は定番だが、初めてそれをやった料理人の名前はイタリアでも不明だと聞いた事がある。また、バジルで作るジェノベーゼソースも保存が難しく、下手するとすぐに変色してしまうが、昔から現地の水夫の常備品だったと言う。冷蔵庫のない時代にどうやって保存していたのか?実は謎だったりする。

食文化は色々面白い要素が満載だが、昔からある食材の組み合わせには栄養学の見地から良いとされる物が多い。そういう知見のなかった時代に何故それを知っていたのか?昔の人の知恵はかくも偉大なものなのだが、新たな創造もあって然るべきである。それが食文化の発展に繋がるのだが、それこそ「人間の人間たる所以」とも言える。それをやるのは難しいが偏見や思い込みを排する事も必要、と言う事なのだろう。