土星探査機カッシーニ、任務終了。

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カッシーニが撮影した土星。美しい。

土星を探索していた探査機「カッシーニ」は全てのミッションを終え、最後は土星に突入してその役目を終えた。

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土星に突入するカッシーニの想像図。
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カッシーニの軌跡。

1997年に打ち上げられたカッシーニは約7年かけて土星に到着した。装備していた着陸機ホイヘンスによって土星の衛星タイタンに「メタンの海」が存在する事を発見したり、自身も衛星エンケラドゥスでの水蒸気噴出を発見したりと、この2衛星に「生命体の存在する可能性」を見出だした事は20年に渡る探査の中でも特筆すべき功績、と言えるだろう。

元々は2008年にその任務を終える予定だったのだが、想定以上の活躍をしてくれたのでミッションは2度も延長され、我々に土星の姿を送り続けてくれた。

最後に土星に突入するのは「生命体の存在する可能性」があるタイタンやエンケラドゥスに悪影響を与えないため、との事で、最後まで地球にアンテナを向け、「最期の瞬間」まで土星の大気の情報などを送り続けた、との事だ。


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土星を探索するカッシーニの想像図。

4月からは土星とリングの間を通過する「輪くぐり」に挑戦し、見事成功、これまでにない至近距離から土星やそのリングの様子を撮影した。

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カッシーニが撮影した土星のリングの様子。

当面は土星やその衛星を探査する計画はないそうだが、カッシーニが残した膨大なデータはその後の探査、特にタイタンやエンケラドゥスで地球外生命体の存在を探すのに大いに役立つ筈である。それが「いつ行われるか」は判らないが、カッシーニの残したデータは

「人類共通の財産」

と言っても過言ではないだろう。カッシーニには

「お疲れ様でした」

と言ってあげたい。

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カッシーニが撮影した土星 その2

…余談だが、土星の画像をネットで検索して見ると非常に美しく、雄大な画像を多数見ることが出来る。しかし、そんな姿を想像して自分で天体望遠鏡を覗くと「拍子抜け」してしまう。何せ土星は地球から14億km、光速で進んでも1時間以上かかる「遥か彼方」にあるのだ。望遠鏡が小さいと、「土星」と認識出来ない可能性さえある。

ガリレオ土星を望遠鏡で覗いた時、ガリレオの望遠鏡では土星のリングを認識出来ず、ガリレオ

土星には耳がある」

と言う表現で観測記録を残した。その「土星の耳」の正体が「リング」である事を発見したのが「ホイヘンス」と言う天文学者で、更にそのリングが「複数で構成されている」事を発見したのが「カッシーニ」と言う天文学者である。(正確にはジョヴァンニ=カッシーニ。その他にも土星の衛星を4つ発見している。) 土星のリングの一番外側の隙間を「カッシーニの隙間」と呼ぶのも、探査機の名前も彼等の功績に因んで命名された事は言うまでもない。