日韓対立、動く気配のないアメリカ
※事実上の「遠回しな断り」である。
トランプ大統領がG20サミット後に韓国を経由して金正恩と会談した際、同行していた筈の文在寅は会談に同席すらさせて貰えず、「別室で待機」と言う屈辱を甘受せざるを得なかった。それでもこの件でアメリカに「仲介を頼み込んでいた」と言うのは
「トランプ大統領が安倍首相に直接言及すれば安倍首相の態度の軟化を引き出せる」
と言う読みなのだろう。だとすれば考えが甘い。
そもそもの疑問として
「何故韓国は日本の措置にここまで猛反発するのか?」
と言うのがある。確かにこれまでの「3年間包括許可」が「一件ごと」になるのは面倒だろうが、日本は一言も「輸出しない」とは言ってない。手続き自体も「韓国だけを不当に不利な扱いにする」性質のものではない。世界の殆どの国が現在も同様の手続きを経て日本から半導体原料を輸入する事になる。毎度の過剰反応か?と思いきや、意外にもその答えは経産省の資料にあった。
今回対象になった3品目を輸出する場合の許可申請には
「輸入企業の過去3年分の調達実績及び最終製品の生産状況」
を添付する必要があると言うのだ。つまり例えばフッ化水素を韓国企業が日本から輸入しようとした場合、その企業の過去3年分のフッ化水素の調達実績とそれを使った製品の生産状況を明確にする必要がある訳だ。こうする事で経産省は輸出先の物資の「入り口と出口」を押さえられる。勿論添付しなければ「形式不備」と言う事で輸出許可は絶対下りない。韓国企業が嘘出鱈目の資料を添付したとしても「おかしい」と、少しでも経産省が疑念を抱けば話はそこまでで、まず間違いなくその主張に対する「確実な裏」が取れるまで許可は絶対下りないだろう。疚しい事がなければ堂々と書けば済む話だが、韓国にはそれが「出来ない事情」があるのではないのだろうか?そうでなければここまで発狂して大騒ぎし、アメリカに仲介を頼んでまで措置の撤回を求めようとはするまい。
この件で日本がアメリカの仲介を求めてまで韓国との対立を解消しなければならない理由など存在しないのは火を見るより明らかである。例え文在寅がトランプ大統領に泣き付こうが安倍首相がそうする事は「絶対にない」と見ても差し支えないだろう。だからアメリカが現状で仲介に乗り出す事もないだろう。
文在寅が「事実上破棄」したと言える慰安婦合意、これもアメリカの仲介の賜物であった事は多くの人が知っている。この時は日韓の対立を見かねたオバマ政権が出てきたが、韓国はそれを反故にした、つまりアメリカの面子を潰したに等しい。それでよく今回も「仲介を求める」なんて厚顔無恥な真似が出来るものだと感心してしまうが、この件で日本が少しでも譲歩すれば韓国は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」をそのまま実践するであろう事は想像に難くない。それこそが今までの「対韓外交の失敗の歴史」そのものなのだから同じ愚を繰り返す必要性など例えアメリカが何と言おうが一切合切ない。そういう意味でも日本がアメリカに仲介を求める事は有り得ない。
※それがアメリカの基本方針。
そもそもトランプ大統領は良くも悪くも「アメリカの国益」を最優先にして行動する。アメリカの東アジア戦略において「日米韓の協力体制」の維持がアメリカの国益に合致する、裏返せば「日韓の対立がアメリカの国益を損なう」と、判断すればトランプ大統領は文在寅風情に泣き付かれなくても自分の判断で動くだろう。だが、アメリカの東アジア戦略において「日米韓の協力体制の維持」が唯一絶対の選択肢なのだろうか?
現状では日本には憲法9条の制約があるので自衛隊には米軍との共同作戦に限界がある。そこを韓国軍が補う事で「日米韓の協力体制」が成り立っており、アメリカの国益に合致する、とすればアメリカがこの日韓対立を憂慮するの理解は出来る。だが、日本が憲法9条の制約を取り払い、自衛隊が「普通の国の軍隊としてとして出来る行動」を出来る様になれば韓国軍の存在意義がどこまであるのか?と言う問題に繋がる。現状の「日米韓」より憲法9条の制約を取り払った前提での「日米」がより「アメリカの国益に合致する」と判断すればアメリカは日本の憲法改正の動きを支持するだろうし、韓国を切り捨てる理由にもなる。トランプ大統領天秤にかけているのはまさに「そういう事」なのではないのだろうか?
「いくつのことに関わらないといけないのか」
と言う文在寅への返答や
「(朝鮮半島の事には)多くのことに関わっている」
「(日韓に介入するのは)フルタイムの仕事のようなものだ」