韓国がWTO提訴手続きを中断した理由

WTO提訴手続きを中断した理由はコレだ。
 
WTO上級委員会が機能不全となる事がほぼ確定した。これでWTOは紛争処理能力を喪失する事になる。
 
 
WTO上級委員会のメンバーは7名。1つの案件をその中から3人が担当するシステムだ。だが、その選任は「全会一致」で選ばれる。最近、アメリカがメンバーの選任に反対し続け為、任期切れと共にメンバーは減少の一途を辿り、現在は3名しかいない。しかもその内2名は間もなく任期切れを迎える。それでもアメリカはメンバーの選任に反対している。今回任期切れのままメンバー減少すれば残るは1名。規定上、WTO上級委員会の紛争処理能力は停止する。
 
その様にアメリカが出る理由は「WTOへの不信感」だと言う。WTO改革の必要性どの国も認識を共有しているものの、その具体的内容、と言うのは隔たりが大きいと言われている。こうでもしない限りどの国も「本気にならない」と言うならアメリカが敢えて泥を被る事でその土俵を作った、とも受け取れるが実際には自国に有利な制度にすべく圧力をかけている、と言う所なのだろう。アメリカのやり方には疑問も涌くが、WTO改革には必要悪なのかも知れない。
 
だが、韓国にとっては「最悪の展開」だ。韓国はWTOに日本の輸出管理体制強化を提訴したが、この様な状況では仮に韓国の主張が通ったとしてもWTOには上級委員会で「勝訴判決」を確定させる術はない。それがGSOMIA破棄凍結にあたって「手続きを中断した」理由なのだろう。日本にとっては「意外な形のアシスト」であるが。
 
いずれにせよ、この為韓国は「日本の輸出管理体制強化撤回」と言う望みを叶える為には自力でどうにかしなくてはならない。裏を返せば日本はこちらの要求を韓国が全部呑むまで首を縦に振らなければ良いだけの事だ。日本この様な措置に出た経緯を考えれば韓国が望む成果を得るのは至難を極める。交渉の土俵自体が「極めて日本に有利」なのだ。それを手放す理由はない。
 
日本も「協議には応じる」としたものの、時間稼ぎに撤するだけで事は済む。k文在寅が如何に阿呆でもそれ位は承知している筈だ。それでも「措置撤回」先に言うのは「交渉力ゼロ」を公言するに等しい愚行だ。さて、協議でどう出てくるか?韓国の出方は見物である。もっともそれがどうあれ、日本は「時間稼ぎ」していれば良いだけの事なのだが。