コロナ禍を目の前にした責任の擦り合い

※責任転嫁をし合っている場合ではないのだが…
 
年明け早々、東京とその隣接3県の知事が拡大する一方のコロナ禍に対して政府に緊急事態宣言の発令を要請した。だが、政府の対応は宣言の発令には消極的だ。経済対策など無視できない、と言うのも判らなくもないが、コロナ禍真っ只中で不安な毎日を過ごすよりかは割り切って宣言を出して一定期間我慢した方がまだマシ、と言う考えもあるだろう。どちらが良いのか?と言われると人によって答えは様々かも知れないが、この政府と知事のやり取り、一方で「責任転嫁」「意地の張り合い」と言う側面も見えているのではないだろうか?少なくともそんな事をしている場合でない事だけは確かである。
 
 
「宣言を出す前に知事がすべき事はまだある筈でやるべき事をやっても感染拡大が止められないなら緊急事態宣言を出す」
 
と言うスタンスの様だ。現状東京都では飲食店への時短要請は22時までだが、それを20時までにするとか、そういう対応を求めている模様で、その要請の権限は知事にあるのだから、まず知事がその様な要請を出すべきなのではないか?と言う事らしい。
 
とは言うものの当の飲食店からすれば既に死活問題になっている訳で、補償のアテもない中で要請だけ受け入れて事業を継続出来る様な余裕などないだろう。国なり都なり支援する必要があるのは間違いないが、現実的にはそれには莫大な財源が必要だ。このやり取り、その責任の擦り合いをしている様にも思える。そんな事をしている場合でないだろうに。
 
双方結局現場の下々に対応を丸投げ、と言うのが実際の所でそれを「政治が責任を持っている」と言えるのか?都知事は結構な会見で色々呼び掛けているが、この人の場合、それは良くも悪くも一種のパフォーマンスと化している嫌いもある。俄に信用できない、と言うのも致し方ない所もあるが、それは当人の日頃の行いのせいでもある。言動に重みが感じられないのもそういう所に原因があるのではないのだろうか?
 
一方で政府も政府で何を言い訳した所で安易な入国制限緩和が国内での感染拡大繋がった事は否定出来まい。
 

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https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1343027209158545410?s=19

 

 

御覧の通り、GOTOキャンペーンよりも入国制限緩和以降の方が明らかに感染拡大の勢いが強まっている。門田隆将氏が指摘する様にこれこそ政府の失策であり、その責任は取らなければ知事にどうこう言える筋合いではないだろう。緊急事態宣言を出さないならどうするのか?政府が知事を納得させるだけのキチンとした方針を示して知事に実行させなければこの事態は好転しない。菅内閣はその答えを用意しているのか?少なくとも記事である様な「知事が出来る事はまだある」等と言う回答で済む筈はない。
 
もっとも緊急事態宣言を出した所で強制力はないに等しいし、それでも事態が改善しなければ打つ手はなくなる。しかもこの緊急事態宣言は事前に期間を定める必要があり、その見極めに失敗すれば内閣どころか政治全体が信頼を失う。政府が発令に及び腰になる訳だ。そんな面子や体裁を気にしている場合ではないのだが、コイツ等は国家の安全とか国民の生命よりそれらの方が優先らしい。だから国民に「多人数での会食」を自粛するよう言っておきながら自分達はそれをやってバレたら言い訳して逃れようとするのだろう。国民の反発を買う「上級国民」そのものの振る舞いである。
 
一旦感染してしまえば一般市民も政治家も関係ない。政治家のセンセイにはその意味がお判りでない様だ。そういう意識改革もまた、コロナ禍克服の第一歩だと言える。