白鵬の柔道会場訪問に相撲協会はどう対処するのか?

 

※なんでそこにいる?
 
横綱白鵬が無観客の筈の東京オリンピック・柔道の試合会場を訪問していた事が発覚して大きな騒ぎになっている。選手や国際柔道連盟会長との記念写真を撮って、それがSNSに投稿されたのが発覚のきっかけだった。勿論「只で済む」筈などなく、様々な意味で問題になっている。
 

 

 

白鵬がどうやって試合会場に入ったのか?白鵬はモンゴルオリンピック委員会のアンバサダーを務めているので「モンゴルオリンピック委員会関係者」として入場出来たと言うのだ。従って白鵬が入場パスを持っていても不思議はなく、それを正当に使っている分には問題なさそうだが、事はそう簡単ではない。
 
現在日本相撲協会ではコロナ禍により、力士の外出に制限をかけている。本場所の合間なので多少の緩和はされていると言うが、それでも通常の外出では師匠の許可が、そして公の場に出る時は事前に協会に届け出て許可を得る必要があると言う。白鵬はそのどちらもしていなかった。だから問題になるのである。
 
勿論相撲協会
 
「常識、非常識が全く分かっていない。決められたルールを守ってない。ルール破りの常習だよ。大きな問題だよ。(コロナ感染が)大変な状況なんだから勘違いとは違う。そんな、やさしいもんじゃない。決まりごと、それも国の中の決まりごと」(芝田山広報部長(元横綱大乃国)
 
と、怒り心頭だ。
 
如何に白鵬がモンゴルオリンピック委員会のアンバサダーだからと言っても同時に相撲協会にも所属しているのだから相撲協会の決まり事を遵守する必要があるのは論を待たない。これで厳重注意以下の軽い処分で済むなら他の力士に示しが付かない。相撲協会は厳罰方針で対処する以外の選択肢はない。
 
横綱」は言うまでもなく力士の番付の最高位であるが、その名称にある「綱」は本来
 
「普通の人間とそれを越えた者の境界線」
 
を意味するものなのだと言う。つまり「横綱になる」と言う事はある意味で
 
「人間の領域を越える」
 
と言う事で、それ故に幾ら休場を繰り返しても番付が下がらない。「人間の領域を越えた者が人間に逆戻りする事はない」からであろう。当然、人間の領域を越える以上、通常の人間以上の品行方正が求められる訳で、取組においても相手が如何なる小細工を用いようとそれを正面から正々堂々と受けて立ち、撃破する必要があり、横綱がその様な小細工を弄するなど「もっての他」である。「横綱相撲」と言われる堂々相撲が横綱に要求される理由だ。
 
そういう観点で見れば白鵬はどうか?確かに強い。先の名古屋場所を見ても星取だけを見ればそれは明らかだが、内容は?と言うと「横綱の品格」を疑われる様な取組が多数見受けられたのも事実である。他の競技であれば(ルール内であれば)内容はどうあれ、一番強い奴がチャンピオン、ランキング1位、金メダルでも結構だが、相撲に限っては「ただ強い」だけではいけない。土俵の内外問わず他の模範となる様な品行方正が伴ってはじめて「真の横綱」なのである。白鵬横綱になって随分経つが、未だにその意味を判っていない模様だ。これでは「横綱の品格」が白鵬一人の為に崩壊してしまう。相撲も伝統にとらわれない変革は必要かも知れないが、「横綱の品格」については譲ってはならない部分でもある。ここでキッチリ白鵬に厳罰を下さなければ相撲協会は他の力士に示しを付けられなくなる。「廃業」も含めた決断が求められると言っても過言ではないだろう。
 
この件で「JOCは無関係を強調」と言うが、あちらの立場としては正当なパスを持っていれば入場を拒む理由はない訳で、こういう言い方しか出来ないだろう。相撲協会の外出規定はそもそもオリンピック会場への入場許可の是非とは関係ないのだから。とは言え、白鵬自身にまず説明責任が求められる事は言うまでもない。尤も「単にモンゴルオリンピック委員会のアンバサダーとしてそのパスで入場した」と言うだけでは世間も相撲協会も納得しない事は確実ではあるが。
 
 
白鵬一人のせいでこうなる危機にある。
 
この一件で相撲協会白鵬にどう対処するのか?対応を間違えると相撲界全体の信用失墜に繋がる。処分する側にも相応の決断が求められる。どうするのかは見物であると言えるだろう。