やはり異常だった相撲協会
と、声を荒げたと言う。このやり取りが事実ならおかしいのは八角理事長の認識だ。
「報道陣に囲まれ、病院に行けない、診断書を出せない」
状況を貴乃花親方が何処まで協会に訴えていたのかは判らない。全く報告していなかったのなら貴乃花親方にも落ち度はあるが、知っていて何もしなかったのであれば協会にもそれなりに責任が発生する。また、救急車は「急病や怪我で緊急に対応しなくてはならない人を迅速に病院へ運ぶ」為のものであってその時点で一度は処置を受けている貴ノ岩を病院に運ぶ、と言うのは救急車の活用の趣旨に反する事だ。八角理事長はそういう事も知らないのだろうか?
また、文書には
「執行部の4人が『内々で済む話だろう』と、被害届の取り下げを要請してきた」
とあるそうだ。相撲協会が事態の大きさを認識せず、相変わらず「真実に蓋をして闇に葬り去る」隠蔽体質である事がよく判る一節だ。発生した事件は「単なる暴力事件」ではなく「傷害事件」だ。実際にそうなった様に「刑事事件」となるレベルの重大さなのだが、相撲協会は事の重大さを理解できないのかしないのか?いずれにしても「自分達のガバナンス」を最優先にする体質である事は間違いないだろう。貴乃花親方は
と言う当事者の貴ノ岩の意向を汲んだに過ぎない。
と、言及したが、貴乃花親方からすれば協会に報告した所で事件が「闇に葬り去られる」のは目に見えている。だから弟子の意向を汲んで被害届を出しただけの話、と言う事になる。横審の見解はあくまでも
「相撲協会のガバナンス」
の範疇からのものだ。そういう視点から見れば貴乃花親方の一連の対応は「異端」でしかないが、そもそも相撲協会自体が「普通の組織」ではないのだからその意味ではそんな組織の機関に貴乃花親方が非難される謂れはない。横審の見解がまともに見えるのは
「相撲協会が『普通の組織』」
と言う色眼鏡を前提にした見解である。だが、その「色眼鏡」を外してモノを見ないと事件の全貌は見えてこない、と言えるだろう。
と言う指摘もあったのだが、「深く議論される事はなかった」と言う。公平・公正な議論がされたのか?この時点で疑問が沸く。相撲協会が「自分達のガバナンスを最優先」する組織である以上、異端者には「処分ありき」の姿勢で臨んでも不思議はない。だから貴乃花親方の言い分を無視する様な対応をしたのではないのか?貴乃花親方もそれを十分承知しており、貴乃花親方が「変えたかった」のは協会の「そういう体質」であり、だからこそ協会には無言を貫き、世間に事の是非を問うべく一連の対応をしたのだとすれば、貴乃花親方の対応の意味が見えてくる。貴乃花親方からすれば「相撲協会に報告しなかった」のではなく、「相撲協会が報告に値しなかった」と言う事であろう。
そういう相撲協会のガバナンスは共産党のそれに通じるものがある、とも言えるだろう。上の言う事は「絶対」で異論反論を許さない、異論反論を唱えれば「組織の論理」で「処分する」。そんな組織が「公益財団法人」を名乗って「国技」を預かるのが「相応しい」と言えるのだろうか?相撲協会に自浄能力が無いことはこの一件からも明らかである。外部から人を入れても毒されてしまうのでは意味がない。「世論」の力で変えるか消滅させるか?ある意味では相撲は八百長問題以上に「正念場」を迎えている、と言えるだろう。果たしてどうなるか?