ゲノム編集されたマダイ

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※ゲノム編集で肉厚なマダイが食べられる?

日本人にとっつマダイは「特別な魚」であり、祝い事には欠かせない。近海の天然物に留まらず各地で養殖も盛んに行われている魚である事は今更述べるまでもない。そんなマダイに「ゲノム編集」を施し、より肉厚にしたマダイが「ゲノム編集食品」として認可され、流通する見通しだと言うのだ。「食の革命」の旗手になれるか?

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https://news.yahoo.co.jp/articles/e902942355d28961fe6a557ffc1bb799103a80b3

今回の「ゲノム編集タイ」は筋肉の成長を抑制する遺伝子を働かなくする様に手を加えたと言う。それによって手を加えない物と比べて1.5倍も肉厚になったと言う。勿論コストダウンにも繋がり、タイがより食べられ易くなる期待は持てる。

問題は言うまでもなく「食の安全」である。この手の「ゲノム編集」には「元からある遺伝子を働かなくする」ものと「外部から別の遺伝子を加える」ものがあり、前者は「品種改良と同質」とされるが、後者は「遺伝子組み換え食品」となり、より厳格な審査が行われる。日本では昨年、GABAを多く含有するトマトが認可されているが、余り偏見を持たずに公平な目で見る必要はあるだろう。他にもフグやサバなどでも研究はされているらしい。

個人的には流通すれば一度は試してみたいものだが、1.5倍肉厚でも旨味成分の量が通常のタイと同じなら薄味に感じてしまうだろうが、逆に脂の乗りも1.5倍ならただでさえ天然物より脂の乗りが良い養殖物なだけに「白身のトロ」になるのかも知れない。予想が付かない。

ただ、必要以上に安全性を懸念する程ではなかろう。そもそも「品種改良した魚」と言うならサーモントラウトなど三倍体の魚や、果物でも種なしブドウやバナナなど、先例は既に存在し、受け入れられているのだから。

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※マダイに似ているがこちらはチダイ。

…余談だが上記の画像の魚、マダイに似ているがこちらはチダイと言う魚。タイの仲間に違いはないが、冒頭のマダイと比べると

・鰓蓋の縁が赤い
・背鰭前方、2本突出している。
・尾鰭の先端がマダイは黒い縁取りがあるがチダイにはない

と言う違いがある。また、旬もチダイはマダイの味が落ちる夏場とされている。混同している販売店も散見されるのでご参考までに。