木下富美子の辞職で一件落着ではないぞ東京都議会

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※判断が遅すぎる。

木下富美子が「漸く」辞任を表明した。当然の事であり、幾らコイツが「悲劇のヒロイン」を演じても誰も同情などしない。それもこれも本人の言動に問題があるのだから仕方ない。都民はアホみたいな形で授業料を払う羽目になったが、コイツのお陰で「政治家の不祥事に対する問題点」が浮き彫りになったと言える。この先、どうこの教訓を活かしていくかが問われる事になるだろう。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/b2879dc9db3c1c3b380b7d2dce0f92c9ae0daffe

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※法が性善説を前提にしていた為こうなった。

木下富美子は会見で

「法律による議員の身分保障は民主主義の根幹。仕事がしたくて議員継続を望んでいるにもかかわらず、議員として十分に仕事をさせてもらえない『理不尽な現実』に悩みました」

と言い、同席した弁護士も

「不祥事を行った議員を辞職させることができるのは、被選挙権を失った場合、リコールが成立した場合、除名処分を受けた場合のみ」

とし、また

「議会や委員会等でイジメ行為をするのではなく、法律上の適正な形で法整備を進めたらいかがでしょうか?学校や職場で見られるイジメの構造と同じで、イジメの撲滅を訴えている議員の方々の日ごろの信頼性が損なわれる」

と、都議会を批判したが、問題の核心はまさにその「法が想定していない道義的問題」に対する対応なのである。

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※「推定無罪」は刑事裁判での話。

コイツは選挙期間中に「無免許運転で当て逃げ」をやらかした訳だが、その事実を伏せて投票日を迎え、当選している。法的に問題がなくてもその事実を公表していれば選挙結果に影響した可能性が極めて高いだけに「選挙の公平性」と言う観点から問題視されているのだが、そこに対する回答はない。だから有権者は納得せず、疑念どころか「意図的」と判断され、有権者の心証は一気に最悪レベルになった。

また、その後奴の無免許運転は常習であり、その悪質さと遵法意識の皆無さが明らかになったが、本人は雲隠れしてしまい、説明責任を果たす事はしなかった。法的に議員たる者が不祥事の疑惑が出たら記者会見して説明する義務は無くてもそれ以前の前提として

「公人に相応しい道徳意識」

と、言う観念があり、奴の言動はそれに照らして相応しいとは言えないどころか真逆の対応だった。「推定無罪」は大原則だが、それはあくまで刑事裁判での話であって、道徳的な説明責任は別の話だ。そもそも「推定無罪」で説明責任を回避出来るなら国会議員だって刑事事件になる様な不祥事が報道されても同じ理屈で逃げられるがそれで納得するのか?「推定無罪」は大原則だが、木下富美子一人を擁護する理由にはならない。

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※そういう姿勢もなかった。

木下富美子には辞職勧告決議が二度も決議された。これが出たからと言って辞職する義務は確かにない。が、「二度も」「全会一致で」決議されており、その点では通常のそれより意味は遥かに重い。また、反論があるなら議会に出てきて反対意見を述べたり、自分が議員を続ける正当性を主張する事は賛同者がいるかどうかはさておき可能だった。しなかったのは本人の責任であり、「反論する要素がなかった」て受け止められても仕方ない。

その上、議長名の召喚状を二度も無視したり、議会は4ヶ月とんずらしていたにも関わらず給料は満額支給だと判明したりと都民からすれば理不尽としか言い様のない現実が明るみになった。木下富美子は

「仕事がしたくて議員継続を望んでいるにもかかわらず、議員として十分に仕事をさせてもらえない『理不尽な現実』に悩みました」

と言っていたがその悩みの前に都民は

「不祥事が明らかになって議員辞職を望んでいるにも関わらず、議員として十分に仕事もしていないのに給料だけは満額支給される『理不尽な現実』に悩まされた」

のである。政治家の都合で振り回され、泣きを見るのは庶民なのは今も昔も変わらないが、「都民の為の政治」を志して議員になったと言うなら都民の声にもっと耳を傾けるべきだった。…それが自分にとって都合の悪いものであっても。

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※その現実を打破すべく声を上げる必要がある。

それでも都議の給料が都議会自ら生み出した利益から出ているなら文句を言う筋合いではないのかも知れないが、実際には都議の給料は都民の払った税金から出ている。誰だって決して安くはない税金を払って(もとい払わされて)いる上、こっちは休めばそれだけ収入は減る。しかもコロナ禍で十分な仕事が出来ず、幾ら頑張っても本来の収入には程遠い、なんて人はザラに居る。それで「規則だから」と言う理由だけで不祥事を起こして反道徳的態度を取り、4ヶ月も仕事をバックレしている奴が給料満額支給だなんて誰も納得などしない。それが判らないのはそれだけ自身と一般都民との意識に差があった、と言うだけの話だ。その意味でも議員として不適格だった事は明らかである。


※問題点を明らかにして改善を。

今回の木下富美子の騒動で

・議員は仕事をしなくても給料「満額支給」の理不尽さ
・不適格な議員を「辞めさせたい」と言う民意が反映され難い
・不祥事を起こした議員への処分制度の不備

と言った問題点が明らかになった。木下富美子を辞職に追い込んでめでたしめでたし、ではなく、それら明らかになった問題点を改善して都民が納得する都議会に生まれ変わって初めて「一件落着」である。それが出来たら木下富美子もある意味では「仕事をした」と言え、払われた給料を受け取る正当性が出来る…かも知れない。

都議は都民の代表なのだからその言動は都民の模範でなくてはならない。木下富美子の言動はその対極にあった訳だが、議員に関する法律は建前としては「有権者の模範たる議員」を想定しており、木下富美子の様な言動をする議員の存在は基本的に想定しているとは言い難い。一言で言えば「性善説過ぎた」のだ。都議会は木下富美子の一件を教訓にこういう類の議員を想定した制度改革をしなくてはならない。それが都民への都議会の「禊」なのである。