「懲役」と「禁錮」を一本化する法改正
現在「自由刑」と呼ばれる刑罰には刑務作業が義務付けられる「懲役」とその義務のない「禁錮」に分けられる。だが、高齢等の理由で刑務作業が困難だったり、逆に禁錮刑でも「牢の中で事がない」と、自ら望んで刑務作業に従事する受刑者が居るなど「懲役」と「禁錮」の実態が曖昧になっているのが実情なのだと言う。また、刑務作業ばかりで受刑者に更正の為の教育等を行う時間の確保が難しい、と言った問題もあり、そこで「懲役」と「禁錮」を一本化した「拘禁刑(仮称)」として受刑者の実情に応じた柔軟な対応を採れるようにする、と言う狙いがある。
…と、「懲役」と「禁錮」を一本化して「拘禁刑」とすると言うのは言葉にすると簡単だが、刑法だけでなく「懲役」「禁錮」の罰則のある法律どころか条例に至るまで「全ての関連法」を改正しなくてはならず、非常に膨大な手間がかかる。勿論反対する理由などないので審議はあっさり終わっても、事務手続きが大変なのは容易に想像出来る。数年はかかると予想されている。
要は刑務所内で強制労働、と言うより「受刑者の更正教育」に重きを置いた処置も可能、と言う点で再犯防止が主な狙いなのだろう。
今年の犯罪白書によると刑法犯の検挙者、再犯者の実数は減っているものの、再犯率は49.1%と、過去最悪だったと言う。コロナ禍のせいで出所後の就職先がなく、結局犯罪に走ってしまうと言った要素もあるのだろうが、出所して再犯→刑務所に逆戻りでは元も子もない。そういう事態を防ぐ為にも受刑者に刑務作業ばかりではなく「更正教育」を行う必要はあるのだろう。これも時代の流れと言ってしまえばそこまでか。
いずれにしても真っ当な生活を送っていれば刑務所など普通は「縁がない」話である。そうならない様に善悪の分別はしっかりと保っていれば何ら問題も影響もない。そうあり続ける事が重要である。