死刑執行の当日告知は妥当なのか?

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※死刑執行場…らしい。

「死刑執行を当日に告知するのは違法」

として死刑囚が国を訴える訴訟を起こした。死刑執行、ひいては死刑制度の在り方について考えるのは結構な話だが、これは何か違う気がする。


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https://news.yahoo.co.jp/articles/230e70fcf3d50d6d733d1aebb152d39f380bf0f7

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※そもそも死刑囚とはそれだけの悪行をしている。

死刑執行が「当日告知」になったのはかつては事前告知していたのだが、告知から執行までの間に自殺した死刑囚が居た為、それを防ぐ為に
この様な形になったと言う事情がある。

当日告知では「不服申立ての権利が侵害されている」と言うが、死刑判決が確定しても一応「冤罪の可能性はないか」チェックはしているらしく、そもそも死刑判決が出たと言っても冤罪だと言うなら再審請求なども不可能ではない。要するに「死刑執行される死刑囚」と言うのは「冤罪の可能性もない」「死刑になる様な凶悪犯罪をやった」人間だと言う事だ。

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刑事訴訟法475条。

死刑執行については刑事訴訟法475条に規定がある。2項で「判決確定から6ヶ月以内に執行」とあるが全くと言って良い程守られていない。理由としては前述の「最終チェック」をしている事が挙げられるのと、法務大臣も人間なのだからやはり躊躇してしまうのか?いずれにしても死刑囚が判決に不服申立てをする機会は事実上確保されているに等しい。

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※それが死刑囚の実態なのだろう。

また、「死刑」とは執行して始めて「刑が執行された」のであってそれが「罪に対する罰」「償い」なのである。従って死刑囚が何年ムショに居ても「罪を償った」とは言えないのだ。そして「死刑判決が確定」した以上、執行はする側の裁量の問題であり、そもそも裁判て確定した罰を受けるのに「不服申立て」もへったくれもない。

…ところでこの死刑囚が主張する様に事前告知に戻したら死刑囚は否応なしに「執行までのカウントダウン」を味わう事になる。どんな気持ちになるのか?当人が伝える事が出来ないので想像の域を出ないが、心理的なストレスは相当のものになるのではないか?その方が死刑囚が苦しむ事になるからそうしろ、なんて言う人も居るかも知れない。だが、死刑囚とは言え、一応執行までは人権はあるし、事前告知して発狂するなどの事例が多発するならそれこそ憲法の禁ずる「残虐な刑罰」になる危険もある。難しい問題なのだ。

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※過度な負担を死刑囚にかけるとこれに抵触する。

死刑囚に自らの死刑執行について早期執行を希望するとか、事前告知が欲しいとかの要望を受け入れる度量があっても良いとは思うが、この件では本人の意思か弁護士の入れ知恵かは知らないが、「本人の死刑執行を停止または先延ばし」する狙いがある様に思える。仮にそうなら

「確定した司法判決の執行を妨害」

する行為となり、権利の濫用にならないか?だが、死刑制度の是非を含めた在り方を議論するのは悪い事ではない。この訴訟、そういうきっかけにはなるかも知れないが、それ以上の意味はないと言える。