43万年前からあった殺人事件

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※今回発見された頭蓋骨。写真右側に傷痕が確認できる。

…これが現在知られているうちでは最古の「殺人」被害者らしい。

《スペイン北部の洞穴で見つかった約43万年前の初期人類の頭蓋骨に、凶器で殴られて致命傷となった痕跡が見つかったと、スペインと米国の研究チームが29日までに米科学誌プロスワンに発表した。「知られている中で最古の殺人かもしれない」としている。

チームは、深さ13メートルの縦穴の下にある洞窟の底で見つかった28体のネアンデルタール人の祖先とみられる骨を分析。52個の破片を組み合わせてできた若い成人とみられる1体の頭蓋骨の前頭部に、二つの破損箇所がつながった穴を確認した。

コンピューターで立体画像化し、犯罪捜査で用いられる手法を駆使して調べ、何者かが正面から同一の凶器を2回、被害者の頭に意図的に打ち付けたと結論づけた。傷が治癒した様子がなく致命傷だったとみられる。

打撃の角度などから落下による事故死の可能性は否定。死体は縦穴の上から洞窟に投げ捨てられたらしい。ほかの骨の多くには傷痕はなく、洞窟が埋葬目的で使われていた可能性があるとチームはみている。》

http://www.sankei.com/life/news/150530/lif1505300023-n1.html

…恐らく頭蓋骨の写真右側の破損箇所が記事が言う鈍器の一撃を喰らった場所なのだろう。従って犯人は右手に凶器を持っていたことも推理できる。その鈍器が太い木の幹なのか石なのか、または他の何かなのかは不明だが。
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※左から2番目が原人。

ネアンデルタール人に死者を埋葬する習慣があったことは既に明らかになっているが、ネアンデルタール人がいたのは20万年~2万年程前の話である。今回の43万年前の事件となると「原人」だと見て間違いなかろう。人類史で初めて火を使いだした人類、と言うあたりを思い浮かべて頂ければまず間違いなかろう。下手人も手口から見て同じ原人以外には考えられまい。死因は鈍器の殴打による脳挫傷と言ったところか。

と、なるとこの原人には仲間同士で殺し合う理由があったと考えられないだろうか?現代の様な借金問題は流石にあり得ないだろうから、食糧を巡る争いなのか、異性を巡る争いなのか、それとも43万年前の原人にも人間関係の問題でもあったのだろうか?意図的であると言うことは下手人に明確に殺意があった事を意味する。43万年前からこの手の「殺人」があったと言うのは驚きでもあると同時に情けなくもある。

死体を縦穴から洞窟に投げ捨てていた点から殺して食べた(!)、と言うのは考えにくいが、原人にも仲間の死体をそのまま放置しない習慣があったとも考えられる。我々が思っている以上に情や理性が高かったのかもしれない。少なくとも「サルに毛が生えた」以上のレベルなのは確実と見ていいだろう。

人類の起源やその進化の過程など、まだ未知の部分も多い。現在我々が普通に行っている習慣のルーツが今回発見された原人にあるかもしれない。今後の研究で新たな事実が判明する事を期待したい。
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※43万年前の殺人事件では彼等にも解決する術はないだろう。下手人ももういないし。