「いじめ問題」教師の責任を問える?

…これはこれで意外な結果…なのかも知れない。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150710-00003365-bengocom-soci

岩手県でいじめを苦にして自殺した中学生の一件、その生徒が学校で担任教師とのやり取りに用いていた「生活連絡ノート」。このノートにいじめの存在が明記されていたにも関わらず担任教師の生徒への不可解な返事や校長への報告がなかった事等を理由に担任教師の対応を疑問視したり、非難する声は多い様だ。

尤もこの担任教師が全くの無為無策だった訳ではなく、仲裁や指導等は行っていたようだ。担任教師としてはそれで終わった事だと認識していた模様だが、実際にはいじめがその後も行われていたと言うことになる。問題はそれをノートから気付く事が出来た筈なのに何故?と言う事になる。法的にこの担任教師の対応に問題がなかったのか?と言う話である。

…結論から言ってしまうと、担任教師に法的責任は発生しないのである。…と、書くと感情的に納得出来ない、と言う人は必ずいるだろう。理由は以下の法律の規定による。

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国家賠償法1条の規定である。公立校の教師も公務員である以上当然適用される。その為、生徒の自殺の原因が「いじめである」という結論に達すれば国、もしくは自治体が損害賠償を行う義務を負う。…勿論金目の話ではないのだが。記事にある様に損害賠償請求が認められるか否かのポイントは「自殺の予見可能性」だが、この事件の場合は「生活連絡ノート」に生徒が何を書いたのか見れば一目瞭然だ。…これで自殺の予見可能性を否定する裁判官がいたならば世も末だ。

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と、いう訳で担任教師に直接損害賠償の請求は出来ないのである。尤も今回の担任教師の対応が「故意または重過失」に該当する、と判断されれば求償される事も有り得るのだが…

本来この規定は公務員が本人への賠償を怖れて公務を行わなかったり、手抜きしたりして公務に支障をきたすのを防ぐ為の規定であると解釈できる。国家賠償法がどれだけ公務員に周知されているかは筆者には分からないが、逆に「何かあっても国が賠償してくれるからいいや」的な捉え方でテキトーに振る舞われては本末転倒である。

と、なれば「いじめ問題」に関しては学校や教師の責任を直接問える様に法改正するのも一案ではないだろうか?例えば学校でいじめを把握するための対策をしていない、教師がいじめを認識出来たのに無為無策だった、など一定の要件を満たした場合には学校や教師の責任を直接問える様にすればいじめ防止に有効なのではないかとも思えるのである。