「命を救う」大麻は認められるべきなのか?


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※本来大麻が違法なのは間違いないが…

この記事はお読みになられる読者様にも考えて頂きたい、と思う記事である。
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http://www.sankei.com/smp/premium/news/160423/prm1604230016-s1.html

この裁判で被告人となっている男性は癌が発見され、治療を受けたものの、余命半年~1年と宣告された上、医師から「打つ手はない」とまで言われたのだそうだ。しかし、インターネットで大麻ががんの改善に有効な可能性があると知って関係省庁に

大麻を医療目的で使うにはどうしたらよいか」

と相談したが、悉く

「日本では大麻自体や大麻由来の治療薬の使用は禁止されている」

と返答されたのだと言う。製薬会社にも

「私の体を医療用大麻臨床試験に使ってほしい」

と伝えたが、

「日本国内での臨床試験は不可能だ」

として断られたのだそうだ。そこで男性は大麻を自宅で栽培・使用したところ、痛みが和らいだほか、食欲が戻り抑鬱的だった気分も晴れたと言う。また、腫瘍マーカーの数値が20分の1に減り、改善の兆候が現れたのだと言う。

「医師も『ありえない』と驚いていた。数値が下がったことを示すカルテもある」

「育てた大麻は他人に販売も譲渡もしていない。現代医療に見放された中、自分の命を守るためにやむなく行った」

とは本人の弁だが、大麻取締法大麻の栽培や所持のみならず、医療目的の使用や研究も禁止している。男性は昨年末に大麻200gを所持していた容疑で逮捕され、起訴に至っている。表面上の事実だけを見れば、法律に違反しているのは間違いないが、この男性の場合、医師でさえお手上げの末期癌になってしまった中、自身の生存の可能性に賭ける為に大麻を栽培、所持、使用したのである。果たしてこれは法律の条文を杓子定規で適用するケースなのだろうか?

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大麻には害だけでなく、医療効果もあると言われる。事実ならば医療用に大麻を解禁するべき、と言う主張にも一理ある。

医療用大麻の解禁を求める声もあると言う。かつて緑内障患者の大麻の譲り受けを手伝い、大麻取締法違反の幇助罪で有罪判決を受けた医療用大麻解禁を求めるNPO代表の裁判の判決文では『医療目的の大麻の施用は特別な事情がない限り正当化されない』と述べられていたと言う。大麻取締法も『みだりに』栽培したり所持したりすることを禁じている。と、なれば男性の場合はまさに『特別な事情』があり、『みだりに』所持していたわけでもない、とも言える。

だが、医療用大麻は有効性が実証されているわけではない。外国では合法化されている国もあるが、大麻の人体への影響、と言う点でも

「最新の調査で大麻は精神に深刻な影響を及ぼすことが明らかになった。大麻は無害な薬草ではなく、慎重な取り扱いが必要な人間の精神に影響を及ぼす薬物である」

大麻を極めて大量に服用すると、軽い精神障害を引き起こすが、このような状況は極めてまれであることが判明した」

等と評価は一定しない。「医療用」と言う用途では国際麻薬統制委員会(INCB)の2009年年次報告

「数年にわたり大麻の医療的な有効性に関する科学的研究が複数の国で行われてきた。当委員会は、大麻の医療的な有効性に関する健全な科学的研究が実施されることを歓迎する」

検証を進めるべきだとする立場ではあるのだが…

また、

大麻の医療効果に関する600以上の海外文献を検証したが、大麻ががんなどの難病に有効である可能性は高い」

「がんには万人に効果がある治療法はない。大麻も含め、どんな薬にも副作用はある。強い副作用を伴う抗癌剤モルヒネもやむなく使用されているのが実情だ。そうした中で、大麻だけが絶対的に禁止されている現状には疑問だ。大麻ががん治療の選択肢の一つとして検討されてもよいのではないか」

と言う医師の指摘もある。それらを踏まえて裁判官はどういう判決をするのだろうか?また、読者様も自身が裁判官だったとしたらこの件、どの様に判断されるであろうか?有罪としてしまえば法秩序は守られるかもしれないが、被告人の「生きる希望」を絶つ事になる。逆に無罪にすると被告人に「生きる希望」を与える事は出来るが、法の主旨に反し、法秩序の崩壊と言う結果に繋がりかねない。法秩序を守るのは裁判官の責務ではあるが、人命と天秤にかけられたら…?不肖筆者程度の頭脳では及びも付かない「平成の大岡裁き」はないものだろうか?裁判官の判断が注目される裁判である。
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大岡越前ならこの件、どう判断するだろうか?