トランプは何を考えてエルサレムをイスラエルの首都と認定したのか?


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トランプ大統領エルサレムを「イスラエルの首都」と認定し、大使館を移設すると発表した件、日本政府としては支持・不支持には言及していない様だ。
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河野外相も
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この様に述べているが、日本政府としては正直「困惑」しているのではないだろうか?「支持」すれば当然反発しているアラブ諸国との関係が悪化する。日本は日本でアラブ諸国との友好関係もあるのだからそれをこの件で毀損する訳にはいかない。かと言って北朝鮮問題を抱える中で明確な「不支持」とも言い辛い、と言う部分はあるだろう。と、なると

エルサレムの最終帰属は当事者の話し合いで解決」

と言う国際社会の原則論に沿って発言するよりない。

欧州各国ではトランプの姿勢を批判する発言が相次いでいるが、パレスチナ問題の原因を作ったのは英国だ。第一次世界大戦の最中の1915年にフセイン=マクマホン協定でアラブ人にパレスチナの管理を約束したにも関わらず1916年にロシア、フランスとサイクス=ピコ協定で同地の共同管理を約束する。その上1917年のバルフォア宣言ユダヤ人にパレスチナでの建国を約束した「三枚舌外交」を展開したツケが今にまで及んでいるのだ。英国はトランプを批判する資格などない、と言えるし、その前に自分達がケツを拭くべきなのは言うまでもないだろう。

エルサレムの帰属が「当事者の話し合い」で簡単に解決しない理由に

「この地がユダヤ教にとってもイスラム教にとっても聖地」

と言う事情も多分に影響しているであろう。どちらの宗教も一神教だ。自分達の「神」以外の「神」と称する者を認めない。そんなのに「自分達の聖地」を踏みにじられ続ける、と言う状況は

「政治的にはともかく宗教的に容認出来ない」

こうなると「政治的な妥協」は意味をなさない。エルサレムの地を共同管理でも国際管理でも「エルサレムと言う聖地を自分達の宗教以外の「神」と称する者を信じる者が支配する」事を許容出来なければ如何なる提案もその観点からすれば同じだと言えるだろう。要するに

「宗教が政治を超越している」

状況では問題解決は困難、と言うよりない、と言う事だ。

トランプが一体何を考えて「このタイミングで」「エルサレムイスラエルの首都と認定」したのか?単純に自分の公約を遵守しただけ、とか従来のアメリカの方針を踏襲しただけ、で片付くだろうか?アメリカでも慎重論や反対論は相当あったと言うが、それをアラブ諸国反米感情の高まりやテロ攻撃のリスクを背負ってまで押し切った理由や狙いは一体何か?それを理解しない限り日本政府も明確な対応は難しいであろう。ただ確実に言えるのは

「テロを起こしてもアメリカの意思を変える事は出来ない」

と言う事だろう。簡単な問題ではないが対応を間違えると日本も悪影響を受ける。日本の外交成果が試される一件である。政府が間違いのない対応をする事を望みたい。