「日本版司法取引」導入



他人の犯罪行為に関わ情報の提供によって自身の刑事責任を軽減出来る「司法取引」が1日より日本でも導入された。
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アメリカで導入されている制度として御存知の方も多いと思われるが、日本での制度はアメリカのそれと違って贈収賄、脱税、談合等の経済犯罪、薬物、銃器等での組織犯罪「だけ」が対象である。取引対象になるのは「他人の犯罪行為に関わる情報」なので単独犯の場合、制度は最初から適用される事はない。あくまでも「組織犯罪対策」を前提にした制度である。


当然「組織犯罪の全容解明」「現状では検挙が困難な被疑者の検挙」に繋がる効果が期待出来るが、同時に「嘘の証言で他人を冤罪に陥れる」リスクも存在する。最高検が「裏付け捜査の徹底」と言う指針を示した様に証言をそのまま信用して採用する、と言う訳ではないのは明白だが、マスコミの報道を見ると「冤罪のリスク」をやたらと強調しているようにも受け取れる。「理性では制度の意義を理解出来ても、安倍政権が導入した制度だから感情的に反対」とでも言いたいのか?と、受け取れる様な書き方ではあるが、実際には対策は取られており、虚偽の供述には「5年以下の懲役」と言う「虚偽供述罪」が適用される。また事前協議の段階から被疑者・被告人の弁護士が一貫して関与するので検察が密室で取引を強要したり、そういう方向に誘導する、なんて真似はほぼ不可能、と言っても過言ではない。また、合意に至った場合、合意内容を書面化し、その合意に基づく証拠が第三者の裁判に用いられる場合、合意内容書面は当の第三者と裁判所には公開される。従って検察が恣意的に運用する事も難しい、と言えるだろう。
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この様な制度を導入する、と言うのは安倍政権としてはそれだけ「暴力団等による組織犯罪」を撲滅しよう、と言う強い意思を持っている裏返し、だとも言える。またこの制度では政治家の贈収賄事件でこれまでの様に「秘書のせい」にする「トカゲの尻尾切り」と言う手段もその秘書が「自身の責任軽減と引き換えに本体の政治家の関与」をゲロってしまう、となれば今までの様に通用しない可能性は極めて高いだろう。かつて騒がれた政界での事件には「無罪」が確定している案件でもこの制度で秘書が決定的な証拠と証言を提供していれば「有罪」になっていたのではないか?とも思える案件も存在するかもしれない。そういう意味では政治家にとってはそれだけで十分反対する「理由」はあるが、導入した安倍首相はそれだけ「クリーン」である、と言う事でもある。

いずれにしてもこの制度、慎重な運用が求められる、と言う点ではその通りだがリスクばかりではなく、導入した安倍政権の意思、と言うものもしっかりと理解して報道して貰いたいものだ。果たしてマスコミがそれが出来るか?