ラブロフ発言は諸刃の剣?
※発言は何処まで本当の事を言ってるんだか?
日露外相会談が行われたが、ロシア外相ラブロフの傲慢発言には怒りを覚えた読者様も少なからず居るだろう。何せ
「『北方領土』と言う日本の呼称は受け入れられない」
とまで抜かしたのだから日本国民として怒りを覚えるのは当然であろう。
産経新聞が以下の記事の様に主張するのは当然の成り行きだが、ラブロフの発言に「違和感」を感じたのは不肖筆者だけだろうか?
「第二次世界大戦の結果を受け入れろ」と言うならソ連がまだ有効だった筈の日ソ中立条約を無視して侵攻してきた事、また日本がポツダム宣言を受諾した後まで戦闘を仕掛けてきた事も避けては通れない。明らかな国際法違反だが、それを正当化する国際法上の根拠はロシアにはない。
ロシアは「ヤルタ協定」を根拠に北方領土の領有権を主張したい様だが、国際法上、ある地域が現在主権を有している国から他国へと主権が移行する場合、現在主権を有している国の「同意」は必要条件だ。日本はヤルタ協定の内容を追認した事はないし、サンフランシスコ平和条約で「放棄した」領土に北方四島を含まれていない。勿論この条約のどこにも
なんて文言はない。
要するにラブロフは「結果」に対して言及していてもそこへ至る「過程」には言及していない、と言うか
「言及できない」
事は時系列を追えば簡単に判る。つまりラブロフは一見強気の姿勢に見えても
「日本側から指摘された『過程』に対するロシアの正当性」
と言う回答を持ち合わせていない「裏返し」があの態度なのだと言う可能性も考えられるのである。
「引き分け」
などと発言していたのだからロシアは大統領と外相の整合性が取れていない、とも言える。
「弱い犬程よく吠える」
と、世間では言うが、ラブロフの発言がその類だとすれば産経が主張する以前に既に安倍首相は見えない所で
「『論』ではロシアを相当追い込んでいる」
可能性すらあるのではないのだろうか?ラブロフの発言は「傲慢」と言うより「追い詰められて逆ギレ」だとすれば発表出来ないだけで取り敢えずの「2島先行返還」も現実味を帯びている事も考えられる。
※プーチンはロシアの国境問題を数多く解決している。
※相手によって対応は違うが、日本の場合はどうだか?
また、ロシアは日本だけではなく、他の多くの国と国境問題を抱えてきた。プーチンが大統領になって以来、その幾つかは彼の手によって解決されている。ラトビアやエストニアの様にロシアの主張を通して相手に手を引かせた例もあれば、ノルウェーや支那の様に「係争地の面積を等分」して解決した例もある。どういう区別でそうしているのかは不明だが、挙げたケースで言うなら旧ソ連の衛星国だったエストニアやラトビアには強硬に出て、そうでないノルウェーや支那には「引き分け」の形で解決してきた、とも言えそうだ。だとすれば日本も交渉次第では
「面積等分」
「3島返還」
だが、いずれにしてもプーチンが手強い相手である事、交渉が簡単に決着しない事は確かだろう。前途多難ではあるが、少しでも不肖筆者の推測が当たっておれば…と、願わずにはいられない。