産経新聞VSロシア

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※近くて遠い北方領土

北方領土を巡って産経新聞とロシア大使の間で「バトル勃発」である。

産経新聞の論説顧問が講演でロシアの北方領土の「不法占拠」について

「国家犯罪」

と表現した事にロシア側が反発してSNSで反論、


それに対して産経が再反論記事を掲載、と言うのが流れである。

https://www.sankei.com/politics/news/190207/plt1902070029-n1.html

そもそもロシア側の主張には無理がありすぎる。ソ連の対日参戦はその時点でまだ有効だった日ソ中立条約を無視した上で行われたが、それを日本とは無関係のヤルタ協定で正当化出来る筈もない。またどんな理屈を唱えようが北方領土へのソ連の侵攻が「ポツダム宣言受諾後」に行われた事も否定しようの無い事実だ。ロシアは「合法」と言うがこれらの「違法行為」を正当化する論理はないし、ロシア側もそれには言及していない。

結局ロシア側が根拠にしているのは

第二次世界大戦当時日本はナチスの同盟国だった」

と言う事だけだ。ナチスの犯罪性については見解の相違はないが、同盟国だったからと言って何から何まで歩調を合わせていたわけではない事は歴史を見れば明らかだ。そもそも同盟の主たる目的は「反共」であった。

ナチスの行った悪事、と言えば真っ先に「ホロコースト」が挙げられる。同盟国だったからと言って日本が同様の行為を行った事実はないし、そもそもホロコーストに国家を上げて賛同していた訳でもない。杉原千畝の「命のビザ」を見れば明らかな様にユダヤ人を助けていたのが事実だ。

イスラエルには「ゴールデンブック」と言うユダヤ人に貢献した人々の名簿があるそうだが、そこには日本人の名前もある。その一人、樋口季一郎少将はホロコーストを逃れて当時の満州国まで来たユダヤ人に多大な支援を行った。それに対してナチスは日本に抗議したのだが、

「当然なる人道上の配慮によって行ったものだ」

と一蹴したのは東條英機である。ロシアはそういう事を知らないのだろう。

樋口季一郎少将はその後、ソ連の侵攻に抵抗し、それがソ連の北海道占拠を頓挫させた。スターリンは戦犯として身柄引き渡しを要求したそうだが、その動きを知ったユダヤ人のロビー活動のお陰でソ連への身柄引き渡しはされなかったが、仮に身柄がソ連に引き渡されていたら、間違いなく冤罪で処刑されていただろう。樋口季一郎少将と違って東條英機にはユダヤ人との人脈はなかったそうだ。それが終戦後の処遇の違いに繋がった、とも言われている。

いずれにしても「ナチスの同盟国だった」と言うだけでは理由にならない。また産経が引き合いに出した「カチンの森事件」、ソ連は真相を隠蔽する為に様々な工作を行った。その一環でポーランドは国自体が西にズレるる形となったが、虐殺を隠蔽する工作、とはそこまでする物なのである。この事件での犠牲者は2万、とも言われるが、その15倍もの虐殺をした、という南京大虐殺では日本軍の隠蔽工作など聞いた事もない。それだけでも「南京大虐殺が虚構」と判断するには十分すぎる。

結局ロシア側の反論は反論になっておらず、論戦、と見るなら産経の主張が正しいのは明らかだ。この記事にロシア側は反論できるのだろうか?反論があるなら見物だが、沈黙するなら敗北を認めたに等しい。産経新聞、ニクい事をしてくれるじゃないか。産経新聞のそういう所は不肖筆者としては好きな所ではある。