都知事選と脱原発

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猪瀬直樹都知事の金銭スキャンダル辞任に伴う都知事選。候補者の顔触れも見え始めて、都民は新たな選択をしなくてはならない。

…最有力候補と下馬評の高いのが舛添要一厚労相厚労相や自身の介護経験から高齢化社会への対応や議会対応は巧く出来る期待感はあるだろう。ただ、自民党を散々批判して除名された過去があるだけに自民党の一部でも彼に対する反発はあるという。とは言え都議会でも多数の自公が支援するなら当選に最も近い立場にいると言えるだろう。

日弁連会長の宇都宮健児氏は前都知事が「政治とカネ」で辞任している経緯から都政にクリーンさを求めるなら最適の人材かも知れない。防災・減災対策などビジョンも打ち出しているのもいい。支援が社民・共産と都議会では少数派だけに無党派層からの集票をどこまで伸ばせるか、また都議会多数派の自公との折り合いも課題としてはあるかもしれない。

航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄氏は元都知事石原慎太郎氏が「個人的に」支援を表明している。(維新は自主投票)他にも支援を表明した著名人を見ると保守派がズラリいる。自衛隊出身だけに判断力や決断力は候補者のなかではピカ一であろう。その太いパイプを活かした自衛隊と連携した防災・減災対策は現実味が強い。しかし特定の政党の支援はなく、石原支援でどこまで票を伸ばせるか?石原都政の後継者としてそれを是とするなら彼に投票する選択肢はアリだが、政治家としての力量は未知数であろう。

…ここへ来て台風の目となりそうなのは細川護熙元首相である。政界引退して陶芸家になっていた彼だが、突然名前が浮上し、更に小泉純一郎元首相が支援すると言われている。その影響力が計り知れないだけに他陣営からも警戒感を持たれる訳でとりわけ自民党には衝撃的であろう。
細川元首相ならば民主党としても支援するなら最適の人材である。いつもは「決められない民主党」だが、細川内閣の際与党だった面々は概ね民主党なんだから独自候補の擁立に悩むくらいなら渡りに船だろう。小沢一郎菅直人鳩山由紀夫(三人纏めて「迷惑トロイカ」と評した夕刊フジには爆笑した。)も支援する模様だと言うが…

宇都宮氏もそうだが、細川元首相も「脱原発」を掲げての立候補だと言うが、ちょっと待って欲しい。何故「脱原発」が都知事選の争点なのか?高齢化社会への対応、防災・減災対策、来る東京オリンピック対応、台風で大被害の伊豆大島の復興などが争点ではないのか?

東京都は東京電力の株主であるから東電に原発の稼働を止めさせ、「脱原発」を実現させる。と言う話のようだが、原発稼働の是非はあくまでも国政の話であり、都政の問題では断じてない。それ以前に東京は電力の大消費地なのだから脱原発ならばそれに代わる電力供給策を具体的に主張しないと安易な脱原発は出来ない。

…火力発電をフル稼働している現状でもCO2やNOxの排出問題、原料輸入費の高騰による電気料金値上げ対策はどうなのか?アベノミクスで円安にはなったが輸入には当然ダメージになる。
風力、地熱、水力、潮力、太陽光発電などもあるが原発に代わる電力供給がこれらに現在出来ているのか?その裏付けのない脱原発は単なる理想論になる。
…筆者は原発推進とは言わないが、裏付けのない脱原発にも賛成出来ない。

…どの選挙であれ、福島第一原発事故発生後には必ず「脱原発」を掲げる候補がいるが、まるで「脱原発」のスローガンを票集めに利用している候補がいる様でいい気がしない。「脱原発」が悪いとか間違っているとは言わないが、何でもそこを争点にするのではなく、本当に都民に必要な施策は何なのか、そこで大いに舌戦を繰り広げて都民に投票先の判断基準を示して貰いたいと場末の一都民としては思うのである。