国際宇宙ステーション「きぼう」で判明!宇宙で生まれ育つと虚弱体質になる?

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無重力空間で育った線虫。
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※こっちが通常の線虫の写真。

これは興味深い発見と言えるのではないだろうか?

宇宙空間で育った線虫は筋力が弱く、運動能力も低いことが、国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」での成育実験で分かった。無重量状態が影響して虚弱体質になったとみられる。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160123-00000011-khks-soci

2009年11月に東北大大学院生命科学研究科の東谷篤志教授のグループが生まれた直後の線虫約1万匹をスペースシャトルで「きぼう」に輸送。4日間成育した後冷凍し、10年2月に再びシャトルで回収した。解凍してその中の数千匹を調べた結果、無重量状態で育った線虫は、同じ宇宙空間であっても重力を加えた線虫より筋肉量が約2割少なかった。更に宇宙での映像を見ると運動能力が低下していた事が判明したと言う。

線虫とは本来は土壌に住む1ミリほどの大きさの線形動物である。植物に寄生するなどの生態があり、個体数も多い為、農作物に寄生されれば甚大な被害をもたらす厄介な存在であると同時に人間の尿の臭いで癌の有無を識別できる、と言う能力もあるらしく、そういう意味では人間の役に立つ可能性が取り沙汰されてもいる。また体細胞が1000個程度の為なのかこの手の実験のモデルにもされるらしい。

…何れにしても線虫は無重力空間で育つと運動能力が低い虚弱体質になる、と言う結果は人間が将来宇宙空間に進出する場合の大きな障壁を示唆しているとも言える。

「人間と線虫では体の構造が全く違うじゃないか。」

と、思われる方もいるだろうが、実際に宇宙飛行士が長期間宇宙に滞在していると筋力低下や骨の虚弱化と言った現象があると言う。無重力下では骨からカルシウムが流出してしまうらしいのだ。東谷教授のコメント

「宇宙飛行士はトレーニングで筋力維持に努めているが、内臓などは細胞レベルで働きが落ちている可能性がある。宇宙での長期滞在に向け、生理的な影響を検討していく必要がある」

にもある様に筋力はトレーニングで維持できるかも知れないが、内臓の細胞レベルでの影響や宇宙での放射線被曝量やその影響など、まだまだ知るべき事は多いと言うことなのだろう。

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ニュータイプへの道はまだ遠い…

…将来人類が「機動戦士ガンダム」に出てくる様なスペースコロニー」に住む様になった時にこういう知識がないとコロニーで生まれた人間は地球で生まれた人間と比べて身体能力でハンデを背負うことにもなりかねない。これではニュータイプだなんだ」どころの騒ぎにはなりそうもない。…現実はかくも厳しいものなのか…

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※「ニュータイプでも体を使うことは普通の人と同じ」どころかそのニュータイプが宇宙で生まれ育っていたら「普通の人と同じ」どころかそれ以下の身体能力になりかねない。

人類が将来月や火星に移住、なんて計画は耳にする事のある話ではあるが、現在の人類の科学力はまだ「それ以前の段階である」としか言いようがないのであろう。先ずは宇宙空間、とりわけ無重力空間に長期間居る事の影響と対策を確立しないと話にならない。それを知る事が現在最も重要な事なのであろう。そういう最先端を日本が研究しているのは大いに誇るべき事である。これからも「きぼう」で新たな発見があるに違いない。大いに期待しても良い事である。