佐川元理財局長を偽証罪で告発?



3月に行われた佐川元理財局長の証人喚問で

「偽証の疑いがある」

として立憲民主党はその告発に同調する様、与党に求めている。


周知の様に国会での証人喚問では冒頭の画像の様に宣誓してから証言するので「偽証」があった場合、偽証罪が成立する事もある。立憲民主党は上記の様な例を挙げ、佐川元理財局長の証言が「偽証」に当たるのではないか?としているが、この「偽証」と言うのが中々の曲者でもある。


「何を以て偽証とするか」でさえ、この様に学説は分かれている。通説、判例では上記の解説で言う「主観説」を採用しており、「自己の記憶に反した証言をする事」が「偽証」の要件である。従ってこの件で告発したとしても「佐川元理財局長が自身の記憶に反した証言を意図的に行った」事の立証が要求される。偽証罪での告発が難しいのはこの点である。


例えばこのやり取り。立憲民主党


事を理由に偽証の疑いをかけているのだが、報道前に「土地取引の8億円値引きが問題視される事を認識していた」としても問題の本質が「値引きの根拠」だと認識していたのだとすればその後の国会審議でやり玉にされた「安倍首相夫妻の関与の有無」にまで至っていたかどうかは別の話になる。野党がその後この一件を倒閣に利用しようと目論んで1年以上追及を続けるであろう事まで認識出来ていたかどうか?この時点で関連する公文書を改竄する必要性を認識していたかどうか?それらを証明できないと告発した所で「逃げ切られる」可能性も出てくる。単に「客観的事実と異なる証言をした」と言うだけでは「直ちに偽証罪成立」とまでは言えない所が厄介な点なのだ。



立憲民主党枝野幸男も弁護士資格を持っているのでそれ位の事は承知であろう。「告発」まで口にしたからにはそれだけの自信があるのだろう。だが自民党


と、冷やかな声も出ている。「退職金減額」と言う形での社会的制裁も受けているのでこれ以上個人を攻撃する意味があるのか?と言う疑問もあるし、野党側の最大の目的である「安倍首相の退陣」がこの問題では不可能、と言えるだけに偽証罪での告発は意味がない、と言う訳だ。そもそも「偽証罪」そのものを問う、と言うなら籠池泰典だって証人喚問で偽証の疑いがある。そちらも言及して貰わないと公平性を欠くし、割に合わない。


告発には自民党の同意が必要なので現状では実現は難しいかもしれない。それよりも野党は

「安倍首相夫妻の関与はなかった」

事を認めてはどうか?国民は既にこの問題を取り上げ続ける事に冷やかである。この問題で誰かのクビを取る事が野党の仕事でも成果でもあるまい。そういう「古いやり方」は国民にはもう受けない。その意味を野党は理解すべきであろう。