アメリカ中間選挙の結果は日本に影響するか?


※ある意味「作戦勝ち」

世界の注目を集めた、とも言えるアメリ中間選挙、結果は


と、下院では民主党過半数を制されたものの、上院では過半数を確保した。

確かに「上院下院の多数派が異なる『ねじれ』状態」

であり、一部メディアではこれを根拠に

「トランプ不信任」

とでも言いたげな主張をしていたが、そもそも日米の「立法府の役割」や「立法府と行政府の関係」は同じ議会制民主主義、といっても根本的に異なるので日本でもかつてあった「ねじれ国会」と同列に論じる事は出来ない。

アメリカでは「大統領と議会多数派の政党が異なる」のは日常茶飯事。

今回も含めた過去10回の中間選挙で「大統領」と「上院、下院の多数派」が同一政党だったケースは2002年の息子ブッシュ1期目だけである。ただしこの時は「9.11テロ」翌年の選挙であり、テロによって大統領の支持率が「50%代→90%」となった余波、と言うのもあっただろう。イレギュラーなケースだと見るべきである。

それどころかレーガンクリントン、息子ブッシュオバマ、いずれも2期目は

「上院下院共に大統領の政党と逆」

であり、1期のみの親父ブッシュも同様であった。もっともクリントンは1期目からしてそうだったが…

今回の選挙結果の様な

「大統領と上院多数派が同一政党」

のケースはレーガンオバマの1期目に発生している。いずれも再選を果たしている事から余程のアクシデントや失政でもない限り、「トランプ大統領再選」は現実的なシナリオ、と見るべきである。

また外交、安全保障、そして指名人事の承認、と言った項目は上院のみの権限なので、下院で幾ら民主党議席を伸ばしてもその点に限ればトランプ大統領にとっては「痛手」とは言い難い。勿論、通常の法律や予算(アメリカでは予算も法律扱い)では上院下院双方で可決されないと成立しないので、国内的にはトランプ大統領民主党と「取引」でもして妥協しないと政策を進める事は難しいが、対外的には声高に「アメリカの国益」を連呼して強硬な対応を続ける事は本人にその気さえあれば不可能ではない。

さて、そんなアメリカに日本はどう向き合えば良いのだろうか?


中間選挙後に会談する首脳の一番手はやはり安倍首相だった。

安倍首相はトランプ大統領と早速電話会談を行っている。基本的な路線に変更はない、と言うのは当然で、また12日からはペンス副大統領が来日する。支那北朝鮮問題への対応などが話し合われる事は容易に予測出来るが、産経記事指摘の通り、INF条約破棄の意向を明らかにした後のロシアとの兼ね合いなども「アメリカの外交課題」としては存在する。トランプ大統領は「アメリカの国益になる」と信じてそれらの政策の遂行を図っているのだろうが、日本も自らの国益に反しないのであればサポートがあっても良いだろう。支那の侵略覇権主義を止める、国際ルールを守らせる、北朝鮮の完全な非核化やミサイル無力化、拉致問題解決など日米共通の国益になる事は沢山あるのだから。

※寧ろ通商問題でどうなのか?は気になる。

日米間の通商問題を持ち出してくる懸念はあるだろう。安倍首相が巧く説得してくれる、と信じるよりないが、それより問題なのは

「日米として韓国をどうするか?」

と言うややこしい問題が出てきている。キチンと説明すればトランプ大統領も日本の主張を理解してくれる可能性は高いと思うし、日韓関係だけを見るなら制裁でも何でもするべきなのは論を待たない。だが、「日米韓」の枠組みにも影響を与えるだけにアメリカを説得して理解を得ると共に「日米韓」から「日米」として韓国を「敵国」認定するのか否か?日米で話し合う必要はあるだろう。日本も「やるべき事」は多い。

いずれにせよ、トランプ大統領としては中間選挙を経て、大統領として結果を出すには「外交や安全保障」が一番手っ取り早い、と言う形になった。それらの分野でアメリカの動きが活発になるのは間違いないだろう。その中で日本も軸足を定めないと「単なる対米追従」で終わってしまう。その様な流れの中で日本の国益を守れるのか?安倍外交の真価が問われる事になる。