「文在寅弾劾」と言う請願が成立した韓国


※おいおい、回答どうするんだ?

韓国大統領府HPの「請願コーナー」、国民からの請願に対し、1ヶ月以内に20万以上の賛同署名が集まれば

「韓国大統領府が1ヶ月以内に回答する」

システムである。本来は

「国政懸案に対する国民の声を反映させる」

趣旨で始まった制度なのだが、日本にいてこの請願システムに関する韓国のニュースを見る限り

「回答不能な請願」

ばかりが目に付く。先日も「野党・自由韓国党の解党を求める」請願がされればカウンターで「与党・共に民主党の解党を求める」請願がなされ、前者は史上最高となる183万もの賛同を、後者も33万の賛同を集め、大統領府として回答義務が生じる事態になっている。その他

「特定議員への内乱罪適用を求める」

と言った請願も要件を満たし、回答義務が生じているが、「最大の傑作」と言えるのは

文在寅の弾劾を求める」

と言う請願がなされ、コレも20万以上の賛同を集めた、と言う事であろう。


コレには笑ってしまった。請願者は事もあろうに「ろうそくデモ参加者」なのだと言う。要するに支持層から出てきた「弾劾要求請願」と言う訳だ。理由は

「文大統領は国軍統帥権者だが、北の核開発を放置して黙認し、国民を潜在的な核人質としていて、非核化していないにもかかわらず軍の対応態勢を緩めるなど常識に外れる行動をしている」

「人権弁護士の文大統領が北の独裁政権治下で発生する処刑、拘禁、拷問について一言も語らない」

と、北朝鮮に対する姿勢を挙げている。

文在寅批判する理由としては「筋が通っている」と言えるが、問題は

「それはこの手の『請願』としては不適切な性質のものである」

と言う事だ。

※そんな請願が罷り通る事は民主主義の基本に反する

常識的に考えればこの手の請願は幾ら「文在寅憎し」であってもまたその理由が「的を得た」ものであったとしても「民主主義」「法治国家」を前提にするなら「対応出来る性質の請願ではない」事は明らかだ。「国民主権」と言ってもその「主権」を国民が実際に行使できるのは憲法改正や大統領、議員などを選ぶ際の「投票」と言う手段に限られる。「国民が主権者」だと言う事は「何でもあり」を意味するものではないからだ。また、「三権分立」の観点から見ても請願が「行政府が立法や司法に介入する」前提の性質のものは幾ら「大統領府」と言えども出来ない事」としか言い様はない。「話のネタ」としては面白いが、それ以上の意味は「持ち得ない」のである。

※支持する理由のトップが「分からない/回答拒否」ってどういう事?

弾劾を要求された文在寅だが、最近の韓国ギャラップによる世論調査では支持率は46%、不支持率44%だったそうだが、「支持する理由」のトップがどういう訳か

「分からない/回答拒否」(16%)

と言う摩訶不思議な結果だったのだと言う。コレは「支持すべきかどうか分からない」と言うのではなく、

文在寅を支持するがその理由を答えられない」

と言う意味である。そういう謎の思考回路で「民主主義」を正しく理解しているとは到底思えないし、その結果がこういう事に繋がっているのだろう。そして同時に文在寅自身も国民の支持を得られる明確な政策を打ち出せていない、と言う事でもある。支持理由の政策別1位は「北朝鮮との関係改善で比率は15%だったと言う。この時点で既に北朝鮮は韓国を「いつも通りに」非難しているのだが、文在寅を支持する人の少なくとも3割は「現実を理解しないお花畑思考」らしい。

今回「文在寅弾劾」を請願した人物もその一人なのだろう。朴槿恵のケースでもそうだった様に実際に韓国大統領を弾劾し、罷免させるには弾劾に「国会で3分の2以上の賛成」がまず必要で、罷免するには憲法裁判所の裁判官9名の内、6名の賛成が必要だ。国民全体が怒り狂う様なスキャンダルのあった朴槿恵と違って文在寅の場合は極めてハードルは高く、現実的ではない。それでも「請願を出す」事にどんな意味があるのだろうか?本来の趣旨を逸脱した制度を悪用した請願に意味はない。そんな場所で不毛な論争をしている時点で「韓国の政治レベル」と言うものの「お里が知れる」と言うデメリットをまるで理解していない。世界に恥を晒しているだけでしかないが、こんな阿呆らしい請願に回答しなければならない大統領府、どんな回答をするのか?その回答に対する反応もまた、「話のネタ」には最適である。